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検査で異常がないのに症状がある?機能性神経障害と神経内科の役割
機能性神経障害(FND)とは?
検査で異常がなくても症状は本物です
手足に力が入らない。
しびれが続く。
けいれんのような発作がある。
歩きにくいのに、検査では大きな異常が見つからない。
このような症状で悩む方の中に、
機能性神経障害という病気が隠れていることがあります。
機能性神経障害は、英語でFNDと呼ばれます。
脳や神経の「構造」が壊れているのではなく、
働き方や信号の伝わり方に不具合が起こる病気です。
「気のせい」や「仮病」ではありません。
実際に体が動かしにくくなったり、感覚が変わったりします。
2026年にJAMA Neurologyに掲載された研究では、
世界17か国、143の医療機関の電子カルテデータを用いて、
FNDの合併症や転帰が調べられました。
対象となったFND患者さんは148,727人でした。
平均年齢は39.4歳で、約7割が女性でした。
この研究では、FNDは神経症状だけでなく、
片頭痛、睡眠障害、痛み、不安、気分の落ち込みなど、
さまざまな症状を伴いやすいことが示されました。
【機能性神経障害の症状:しびれ・脱力・けいれん】
FNDの症状は人によって大きく異なります。
代表的なものには、手足の脱力、歩行障害、
ふるえ、しびれ、感覚の異常、けいれん様発作があります。
けいれん様発作は、てんかん発作のように見えることがあります。
しかし、脳波検査では典型的なてんかん波が出ない場合があります。
このような発作は、機能性発作と呼ばれます。
中学生向けに言えば、脳の電気回路が壊れているのではなく、
体を動かす信号の出し方が乱れている状態です。
また、症状が日によって変わることもあります。
緊張、疲労、睡眠不足、痛みなどで悪化する方もいます。
大切なのは、症状が「本物」であると理解することです。
本人がわざと出している症状ではありません。
【合併症と生活への影響:FNDは全身に関わる病気】
今回の研究では、FNDの患者さんに多くの合併症がみられました。
神経の合併症は78.5%に記録され、
睡眠障害32.8%、片頭痛27.0%、多発神経障害10.4%が含まれました。
精神面では、気分障害51.6%、不安障害51.2%、
PTSD16.0%が記録されていました。
PTSDとは、強い恐怖やつらい体験のあとに、
心と体の緊張が続く状態です。
また、背中の痛みや腹部・骨盤の痛みなど、
痛みの症状も多くみられました。
疲労、吐き気、めまい、息苦しさ、動悸、
排尿トラブル、過敏性腸症候群なども報告されています。
つまり、FNDは一つの神経症状だけでなく、
体全体の不調と関係することがある病気です。
研究では、FND患者さんは多発性硬化症の患者さんと比べて、
救急受診や入院、介護への依存、死亡率が高い傾向も示されました。
この結果は、FNDが軽い病気という意味ではなく、
医療体制としてしっかり向き合うべき病気であることを示しています。
【神経内科とリハビリ:早期診断と多職種連携が大切】
FNDの診療で大切なのは、まず正しく診断することです。
脳梗塞、脳腫瘍、てんかん、多発性硬化症、末梢神経障害など、
似た症状を起こす病気を確認する必要があります。
そのうえで、診察所見や症状の特徴から、
FNDとして説明できるかを丁寧に判断します。
FNDの治療では、医師の説明がとても重要です。
「異常がないから問題ない」ではなく、
「神経の働き方に不具合がある」と理解することが回復の第一歩です。
リハビリでは、症状のある部分だけを無理に鍛えるのではなく、
自然な動き方を取り戻す練習を行います。
歩行障害がある方では、注意を症状から少し外しながら、
歩き方を再学習する方法が役立つことがあります。
不安、抑うつ、トラウマ、睡眠障害がある場合は、
心理的サポートや専門医との連携も重要です。
FNDは一人で抱え込むほど、生活への影響が大きくなります。
早めに神経内科で相談し、必要に応じてリハビリや心理支援を組み合わせましょう。
まとめ
機能性神経障害(FND)は、
しびれ、脱力、歩きにくさ、けいれん様発作などを起こす病気です。
検査で大きな異常が見つからなくても、症状は本物です。
本人の気持ちの弱さや仮病ではありません。
2026年の大規模研究では、FNDには片頭痛、睡眠障害、痛み、
不安、気分障害などが多く合併することが示されました。
FNDは、神経内科、リハビリ、心理的サポートを組み合わせて、
総合的に対応することが大切です。
原因が分からないしびれ、脱力、けいれん、歩行障害で悩む方は、
早めに専門医へ相談しましょう。
当院からのお知らせ
那覇市・浦添市・沖縄県で、
しびれ、脱力、歩きにくさ、ふるえ、けいれん様発作、
機能性神経障害、FND、片頭痛、めまい、慢性疼痛でお困りの方は、
シーサー通り内科リハビリクリニックへご相談ください。
当院では、内科・脳神経内科・リハビリテーションの視点から、
神経症状の診断、必要な検査、生活指導、リハビリを行います。
「検査では異常がないと言われたが症状が続く」
「しびれや脱力で生活に困っている」
「歩きにくさや発作について相談したい」
という方も、お気軽にご相談ください。
引用情報
Asan L, Lynch-Kelly K, Berlot R, Stanton B, Nicholson T, Pollak TA, Edwards MJ.
Comorbidities and Outcomes in People With Functional Neurological Disorder.
JAMA Neurology. Published online May 11, 2026.
doi:10.1001/jamaneurol.2026.1040.
