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インフルエンザで重症化しやすい人は?「入院・死亡リスク」が高い人を215万人の最新研究から総合内科専門医が解説
「インフルエンザは数日休めば治る病気」と考えている方も多いかもしれません。
実際、多くの方は自然に回復します。しかし高齢者や基礎疾患のある方では、
肺炎などを合併し、入院が必要になったり、命に関わったりすることがあります。
では、具体的にどのような人が重症化しやすいのでしょうか。
最新のシステマティックレビュー・メタ解析では、63研究、合計215万518人の
データから、季節性インフルエンザの入院・死亡リスクが詳しく検討されました。
今回の研究のポイントは、単に「高齢者は危険」とまとめるのではなく、
入院しやすい人と、重症化した後に死亡しやすい人を分けて解析したことです。
結果から見えてきたのは、年齢だけでなく、心臓・肺・神経の病気などを持つ方を
早い段階から注意深く診ることの大切さでした。
【インフルエンザで入院しやすい人|高齢者だけではありません】
まず研究では、重症化していない季節性インフルエンザ患者について、
どのような背景がその後の入院と関連するのかが検討されました。
成人では、年齢が10歳上がるごとに入院のオッズが1.72倍でした。
さらに心血管疾患では2.72倍、HIV・免疫不全・免疫抑制状態では2.70倍、
慢性呼吸器疾患では2.24倍と、入院との強い関連が認められました。
そして見逃せないのが神経疾患です。
何らかの神経疾患がある人では、入院のオッズが2.31倍でした。
糖尿病1.84倍、妊娠1.88倍、悪性腫瘍1.75倍もリスク因子でした。
つまり、パーキンソン病や脳卒中後など神経疾患を持つ患者さんでは、
インフルエンザを「普通の風邪」と考えないことが大切です。
嚥下機能や咳をする力が低下している患者さんでは、痰を十分に出せなかったり、
食べ物などが気管に入る誤嚥を起こしたりすることもあります。
なお、これらは主として関連性を示す観察研究の統合結果です。
「神経疾患があるから必ず入院する」という意味ではありません。
【インフルエンザの死亡リスク|特に注意したい8つの要因】
次に研究では、すでに重症インフルエンザとなった患者さんについて、
死亡と関連する因子を調べています。
特に関連が大きかったのが二次性細菌感染で、死亡のオッズは4.13倍でした。
これはインフルエンザ感染後に、肺炎球菌などの細菌による肺炎などを
続けて起こす状態です。
「一度熱が下がったのに再び発熱した」「咳や痰が急に悪化した」などの場合には、
二次性細菌感染を含めた評価が必要になることがあります。
そのほか、低栄養3.29倍、敗血症3.19倍、急性腎障害2.92倍、
65歳以上2.47倍が死亡と関連していました。
慢性心血管疾患は2.43倍、悪性腫瘍は2.21倍、
慢性神経疾患も2.08倍でした。
肝疾患、免疫不全・免疫抑制状態、慢性閉塞性肺疾患(COPD)についても、
死亡との関連が報告されています。
特に複数のリスク因子を持つ高齢者では、発熱だけで判断するのではなく、
食欲、呼吸状態、意識、脱水など全身状態を見ることが重要です。
【インフルエンザ重症化予防|「リスクを知る」ことが治療の第一歩】
今回の研究は「インフルエンザが怖い」というだけの話ではありません。
重要なのは、重症化しやすい人をあらかじめ把握し、予防や治療につなげることです。
研究者らも、65歳以上、免疫機能が低下した人、心血管疾患、神経疾患、
慢性呼吸器疾患を持つ人を、入院リスクの高い集団として挙げています。
こうした方では、インフルエンザワクチンによる予防に加え、感染した場合に
早めに医療機関へ相談することが大切です。
また高齢者では、典型的な高熱が出ないこともあります。
「何となく元気がない」「食事が取れない」「いつもより眠っている」などの変化が、
感染症のサインになっていることもあるため注意が必要です。
研究結果は、重症化リスクの高い人を優先してワクチン接種や治療につなげるための
科学的根拠として活用できると著者らは述べています。
【Q&A|インフルエンザと重症化について】
Q.65歳以上なら必ずインフルエンザが重症化しますか?
いいえ。年齢は重要なリスク因子ですが、必ず重症化するわけではありません。
心臓病、神経疾患、呼吸器疾患なども含めて総合的に考える必要があります。
Q.神経疾患があるとインフルエンザは危険ですか?
今回の解析では、神経疾患は入院と関連し、重症患者では慢性神経疾患が
死亡とも関連していました。早期から全身状態を観察することが大切です。
Q.一度熱が下がれば安心ですか?
必ずしもそうではありません。再び高熱が出る、呼吸が苦しい、痰が増えるなどの
変化があれば、二次性細菌感染なども考えて医療機関へ相談してください。
Q.重症化を防ぐために何ができますか?
ワクチン接種などの予防に加え、リスクの高い方では感染時に早めに受診し、
抗ウイルス薬などの治療が必要か医師に判断してもらうことが重要です。
【那覇市でインフルエンザ・感染症が心配な方へ】
シーサー通り内科リハビリクリニックでは、一般内科に加えて脳神経内科の視点から、
高齢者や神経疾患を持つ方の感染症にも注意して診療しています。
特に脳卒中後、パーキンソン病、認知症などがある患者さんでは、発熱だけでなく、
食事量、意識状態、歩行状態など普段との違いを確認することが大切です。
当院ではインフルエンザの診断・治療だけでなく、ワクチン接種を含め、
重症化を防ぐための予防にも取り組んでいます。
「インフルエンザになってから治す」だけでなく、
「重症化しやすい人を知り、重症化する前に守る」ことも大切な医療です。
当院でも9月24日からインフルエンザワクチン接種を開始しています!
早めにご予約をお願い致します。
重症化を予防していきましょう。
【参考文献・引用情報】
Gao Y, Liu M, Uyeki TM, et al.
Risk factors for hospital admission and mortality in patients with influenza virus infection: a systematic review and meta-analysis.Lancet Respir Med 2026 Sep 8:S2213-2600(26)00195-5.
DOI:
https://doi.org/10.1016/S2213-2600(26)00195-5
