ブログ
LDLコレステロールが高いのは遺伝かも?家族性高コレステロール血症を内科専門医・動脈硬化専門医が解説
家族性高コレステロール血症とは?家族を守る早期発見と治療のポイント
「健康診断で毎年LDLコレステロールが高いと言われる」
「食事に気をつけても、コレステロール値が下がらない」
このような場合、体質や食生活だけではなく、遺伝によって起こる
「家族性高コレステロール血症」が隠れている可能性があります。
家族性高コレステロール血症は、英語の頭文字から「FH」と呼ばれます。
生まれつきLDLコレステロールが高くなりやすい遺伝性の病気です。
2026年6月に医学雑誌JAMAへ掲載された解説では、FHは決して珍しい
病気ではなく、早期発見と継続的な治療が重要だと強調されています。
【家族性高コレステロール血症は珍しくない遺伝性疾患】
LDLコレステロールは、一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれます。
増えすぎると血管の壁にたまり、動脈硬化を進める原因になります。
通常、血液中のLDLは肝臓に取り込まれ、適切に処理されています。
FHでは、この取り込みに関係する遺伝子の働きが弱くなっています。
そのため、子どもの頃から高いLDLコレステロールにさらされ続け、
年齢とともに血管への負担が積み重なっていくことが特徴です。
FHの多くは「ヘテロ接合体」と呼ばれるタイプで、世界ではおよそ
250~350人に1人が該当すると推定されています。
より重症な「ホモ接合体」は約16万~50万人に1人とまれですが、
幼少期から非常に高いLDL値となり、専門的な治療が必要です。
未治療のヘテロ接合体FHでは、男性の約半数が50歳までに、女性の
約3分の1が60歳までに冠動脈疾患を発症すると報告されています。
冠動脈疾患とは、心臓を養う血管が狭くなる狭心症や、血管が詰まる
心筋梗塞などの病気です。若い年代でも発症する点に注意が必要です。
痩せている人や、運動習慣がある人でもFHになる可能性があります。
「生活習慣がよいから大丈夫」とは限らないことを知っておきましょう。
【LDLコレステロール180以上と家族歴は重要なサイン】
日本の診断基準では、治療前のLDLコレステロールが180mg/dL以上
であることが、FHを疑う重要な項目の一つです。
さらに、アキレス腱が厚くなる「アキレス腱肥厚」や、手の甲、肘、
膝などにコレステロールがたまる「腱黄色腫」も手掛かりになります。
家族や近い親族にFHの人がいる場合や、若い年齢で心筋梗塞・狭心症
を発症した人がいる場合にも、FHの可能性が高くなります。
日本では、男性55歳未満、女性65歳未満で発症した冠動脈疾患を
「早発性冠動脈疾患」と定義し、診断の重要な判断材料にしています。
診断基準の3項目のうち2項目以上を満たすと、成人FHと診断されます。
ただし、基準を完全に満たさなくてもFHを否定できない場合があります。
特にLDLコレステロールが250mg/dL以上の場合は、家族歴や外見上の
所見がはっきりしなくても、FHを強く疑う必要があります。
アキレス腱肥厚は、触診だけでは判断が難しいことがあります。
超音波検査を使うことで、痛みなく腱の厚さを確認できます。
FHと診断された場合は、両親、兄弟姉妹、子どもなどの家族についても
検査する「家族スクリーニング」が強く推奨されています。
遺伝形式によっては、親がFHの場合、子どもにも約2分の1の確率で
受け継がれる可能性があるため、家族全体での確認が重要です。
【家族性高コレステロール血症は早期治療が重要】
FHの治療では、食事、運動、禁煙、適正体重の維持が基本になります。
ただし、生活習慣の改善だけでは十分に下がらないケースが多くあります。
これは患者さんの努力不足ではありません。生まれつきLDLを肝臓へ
取り込む力が弱いため、薬による治療が必要になることがあります。
治療の中心となるのは「スタチン」と呼ばれる薬です。肝臓で作られる
コレステロールを減らし、血液中のLDLを低下させます。
スタチンだけで十分に下がらない場合は、腸からのコレステロール吸収を
抑えるエゼチミブなど、作用の異なる薬を組み合わせます。
それでも目標値へ届かない場合には、PCSK9阻害薬という注射薬などが
検討されます。LDLを大きく低下させることが期待できる治療薬です。
日本のガイドラインでは、心筋梗塞などをまだ発症していない一次予防で
LDLコレステロール100mg/dL未満が管理目標とされています。
すでに冠動脈疾患を発症した二次予防では、さらに厳しく70mg/dL未満が
目標です。ただし、年齢や合併症に応じて個別に判断します。
大切なのは、現在の数値だけでなく、これまで高いLDLにさらされてきた
期間も考えることです。治療は早く始めるほど効果が期待できます。
薬を自己判断で中断すると、LDLコレステロールが再び上昇します。
副作用や不安がある場合は、薬をやめる前に医師へ相談しましょう。
まとめ
家族性高コレステロール血症は、決して珍しい遺伝性疾患ではありません。
若くても心筋梗塞などを発症する可能性があるため、早期発見が重要です。
LDLコレステロールが180mg/dL以上ある人、家族に若い心筋梗塞の人が
いる場合は、「遺伝だから仕方ない」と放置せず、一度ご相談ください。
本人を早く発見することは、両親、兄弟姉妹、子どもなど、まだ診断されて
いない家族の将来を守ることにもつながります。
シーサー通り内科リハビリクリニックからのお知らせ
那覇市・浦添市・豊見城市・南風原町・糸満市をはじめ、沖縄県で「コレステロールが高い」「家族に若くして心筋梗塞になった人がいる」とお悩みの方へ。
シーサー通り内科リハビリクリニックでは、脂質異常症・家族性高コレステロール血症(FH)・動脈硬化の専門的な診療を行っています。
健康診断でLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が高いと指摘された方や、「体質だから仕方ない」と思っている方の中には、生まれつきLDLコレステロールが高くなる**家族性高コレステロール血症(FH)**が隠れていることがあります。
当院では、血液検査に加え、頸動脈エコーによる動脈硬化の評価や、アキレス腱エコーによるFHの評価を行い、一人ひとりに合わせた診断・治療をご提案しています。また、必要に応じて心電図・心エコー・CT検査などを組み合わせ、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを総合的に評価します。
スタチンなどの内服治療はもちろん、生活習慣の改善や最新の治療についても分かりやすくご説明し、ご本人だけでなく、ご家族への検査(家族スクリーニング)のご相談にも対応しています。
那覇市・浦添市・豊見城市・南風原町・糸満市など沖縄県内で、脂質異常症、家族性高コレステロール血症(FH)、動脈硬化について相談できるクリニックをお探しの方は、お気軽にシーサー通り内科リハビリクリニックへご相談ください。
よくあるご質問(Q&A)
Q.LDLコレステロールが180mg/dL以上あります。家族性高コレステロール血症でしょうか?
A.180mg/dL以上はFHを疑う重要な目安ですが、それだけでは診断できません。家族歴やアキレス腱の状態、診察所見などを総合的に判断します。
Q.家族性高コレステロール血症は食事や運動だけで改善できますか?
A.生活習慣の改善はとても大切ですが、FHは遺伝性疾患のため、薬による治療が必要になることが少なくありません。早期から適切な治療を始めることで、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを減らすことが期待できます。
Q.家族も検査を受けたほうがよいですか?
A.はい。FHはご家族にも受け継がれる可能性があるため、ご本人が診断された場合には、ご両親・兄弟姉妹・お子さんの検査もおすすめしています。
Q.沖縄県で家族性高コレステロール血症を相談できる医療機関はありますか?
A.シーサー通り内科リハビリクリニックでは、那覇市・浦添市をはじめ沖縄県内の患者さんを対象に、脂質異常症・家族性高コレステロール血症(FH)・動脈硬化の専門的な診療を行っています。健康診断でコレステロールが高いと指摘された方や、ご家族に若くして心筋梗塞になった方がいる場合は、お早めの受診をおすすめします。
引用・参考文献
1.Stein JH, Tattersall MC. Familial Hypercholesterolemia.
JAMA. Published online June 29, 2026.
doi:10.1001/jama.2026.8822
https://doi.org/10.1001/jama.2026.8822
2.日本動脈硬化学会.
成人家族性高コレステロール血症診療ガイドライン
フォーカスアップデート2025.
https://www.j-athero.org/jp/wp-content/uploads/publications/pdf/JAS_FH_GL2025.pdf
