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活動報告

未来のセラピストへ「痙縮治療」を伝える

沖縄リハビリテーション福祉学院で講義を行いました

9月4日、沖縄リハビリテーション福祉学院で、未来の理学療法士・作業療法士など、
これからリハビリテーション医療を担う学生の皆さんに講義を行いました。

今回のテーマは、**「痙縮(けいしゅく)の診かたと治療」**です。

痙縮とは、脳卒中や頭部外傷、脊髄損傷など、脳や脊髄が障害されたあとに、
手足の筋肉が過剰に緊張し、「つっぱる」「曲がったままになる」状態です。

講義では、痙縮の仕組みだけでなく、腱反射や病的反射、痙性歩行など、
患者さんを実際に診るうえで大切な神経診察についてもお話ししました。

【痙縮は、脳卒中後の生活を大きく妨げます】

痙縮は単に「筋肉が硬い」というだけではありません。

腕が曲がって着替えにくい、手が開かず清潔を保てない、
足がつっぱって歩きにくいなど、日常生活にさまざまな影響を与えます。

講義で紹介した資料では、脳卒中後の上下肢痙縮は約19~43%にみられ、
ADL(日常生活動作)にも大きな障害を与えることが示されています。

しかし、ここで学生の皆さんに最も伝えたかったのは、
「痙縮があるから仕方がない」とあきらめる必要はないということです。

痙縮を軽くするためには、リハビリテーションだけでなく、
薬物療法、装具療法、電気刺激など、さまざまな治療方法があります。

その代表的な治療の一つが、**ボツリヌス療法(BoNT-A治療)**です。

ボツリヌス療法では、過剰に緊張している筋肉に薬剤を注射することで、
筋肉のつっぱりを和らげ、動作やリハビリを行いやすくします。

脳卒中後の上下肢痙縮に対して改善効果があり、
ADLの改善にもつながることが報告されています。

【治療できるのに、治療につながっていない患者さんがいます】

実際の診療では、痙縮に苦しんでいるにもかかわらず、
「脳卒中の後遺症だから仕方がない」と考えている患者さんも少なくありません。

また、ボツリヌス療法などの治療法そのものを知らず、
何年も手足のつっぱりや歩きにくさを抱えている方もいらっしゃいます。

だからこそ、患者さんに最も近い場所で身体をみている
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の存在が非常に重要です。

「この筋肉の緊張は強すぎるのではないか」
「もう少し痙縮を軽くできれば、もっと歩けるのではないか」。

そう気づいて医師につなぐことが、患者さんの未来を変えることがあります。

今回の講義でも、ボツリヌス治療は単独で完結する治療ではなく、
リハビリテーションと組み合わせることが非常に重要だとお話ししました。

また、治療する筋肉を正確に見つけるためには超音波なども役立ちます。

資料でも、医師とセラピストが協力しながら治療を行い、
多職種で共通の目標に向かう重要性を取り上げました。

【当院では「痙縮をあきらめない治療」に取り組んでいます】

シーサー通り内科リハビリクリニックでは、
脳卒中などの後遺症による痙縮に対する治療にも力を入れています。

当院では、ボツリヌス療法をはじめ、症状や身体の状態に応じて、
リハビリテーションや体外衝撃波治療なども組み合わせています。

大切にしているのは、「筋肉を柔らかくすること」だけではありません。

筋肉の緊張が和らいだその先に、
「手を使いやすくする」「歩きやすくする」「着替えやすくする」など、
患者さん一人ひとりの生活につながる目標を設定することです。

痙縮を減らすことで、これまで難しかった能動的なリハビリが可能となり、
新しい動きを獲得するチャンスが生まれることもあります。

そのためには、医師だけでは十分ではありません。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師など、
患者さんを支える多職種が同じ方向を向いて取り組むことが大切です。

皆さんがこれから現場に出て、痙縮に悩む患者さんと向き合う日が来たとき、今日の内容が少しでも役に立てば嬉しく思います。未来のセラピストの皆さんのご活躍を、心から応援しています。