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脳神経内科頭痛

片頭痛の新しい予防治療「CGRP抗体薬」は続ける価値がある?日本の最新研究を解説

片頭痛は、単なる「頭痛」ではありません。
強い痛みに加えて、吐き気や光・音への過敏が起こり、仕事や家事、学校生活に大きく影響する病気です。

日本では2021年から、片頭痛を予防する新しい治療として
「CGRP関連抗体薬」と呼ばれる注射薬が使われるようになりました。

今回、日本人1781人の診療データを解析した研究から、
CGRP関連抗体薬が実際の医療現場でどの程度続けられているのかが明らかになりました。

【片頭痛のCGRP抗体薬とは?新しい予防治療の特徴】

CGRPとは、片頭痛の発作に深く関わる体内の物質です。
片頭痛が起こるとCGRPが増え、脳を包む血管や神経に作用して痛みを強めると考えられています。

CGRP関連抗体薬は、このCGRPの働きを抑えることで、
片頭痛が起こる回数や頭痛の日数を減らすことを目的とした予防薬です。

現在、日本ではガルカネズマブ、フレマネズマブ、エレヌマブなどが使用されています。

今回の研究では、CGRP関連抗体薬を初めて開始した1781人を対象に解析しています。

平均年齢は41.8歳で、約79%が女性でした。
使用された薬剤はガルカネズマブ55.0%、フレマネズマブ29.7%、エレヌマブ15.3%でした。

片頭痛は特に30~50歳代の働く世代に多くみられます。
頭痛を我慢しながら仕事を続けている方も少なくありません。

そのため「痛くなった時だけ薬を飲む」だけでなく、
発作そのものを減らす予防治療を考えることが重要になっています。

【CGRP抗体薬の継続率は?6か月後も76.9%が治療を継続】

この研究で特に注目したいのが、治療の継続率です。

CGRP関連抗体薬を開始した患者さんのうち、
3か月以上治療を続けていた人は91.9%でした。

さらに6か月以上治療を継続していた人も76.9%に達していました。

一方、決められた治療スケジュールを十分に守れていた割合、
いわゆる「アドヒアランス」は51.7%でした。

アドヒアランスとは、医師と相談して決めた治療を、
予定された間隔で適切に続けられているかを示す考え方です。

つまり多くの患者さんが治療そのものは続けている一方で、
注射の間隔が延びたり、中断したりするケースも存在することが分かります。

治療を継続しやすかった要因として、年齢が高いこと、男性、
急性期治療薬や他の予防薬を併用していることなどが挙げられました。

反対に、群発頭痛、睡眠障害、末梢神経障害などを併せ持つ人では、
治療継続が難しくなる可能性も示されています。

片頭痛治療では「効く薬を選ぶ」だけでなく、
患者さんが無理なく続けられる治療計画を一緒に考えることも大切です。

【CGRP抗体薬で片頭痛の飲み薬は減る?医療費の変化にも注目】

今回の研究では、CGRP関連抗体薬を開始した後、
他の片頭痛治療薬の処方がどのように変化したかも調べています。

治療開始後3か月以内では、急性期治療薬を使用していた人は86.1%、
従来の飲む予防薬を使用していた人は51.3%でした。

しかし4~6か月になると、それぞれ49.8%、22.5%まで低下していました。

これは、CGRP関連抗体薬を続けることで、
他の薬への依存度が下がった可能性を示す興味深い結果です。

ただし、この研究は保険請求データを調べたものなので、
「頭痛が実際に改善したから薬が減った」と直接証明した研究ではありません。

医師の判断によって薬を整理した可能性などもあり、
処方薬が減った理由については慎重に解釈する必要があります。

医療費は、治療開始後3か月では月中央値7万5320円と一度増えました。

その後3~6か月では4万6700円となり、
治療開始直後のピークからは低下する傾向がみられました。

CGRP関連抗体薬は薬剤費が比較的高いため、
治療を始める前には効果だけでなく費用についても相談しておくことが大切です。

今回の研究には注意点もあります。

市販の鎮痛薬の使用状況、頭痛の強さや回数、
治療を中止した具体的な理由などは保険請求データからは分かりません。

また、研究データには高齢者が比較的少なく、
仕事を休むことによる経済的損失なども評価されていません。

それでも、日本の実際の医療現場でCGRP関連抗体薬が
比較的高い割合で継続されていることを示した点は重要です。

片頭痛で毎月何度も生活を妨げられている方は、
「頭痛だから仕方がない」と我慢せず、一度専門医へ相談してみてください。

よくある質問 Q&A

Q.CGRP抗体薬はどんな人に向いていますか?

A.片頭痛発作が繰り返し起こり、仕事や家事、学校生活などに支障がある方が主な対象です。従来の予防薬で十分な効果が得られない場合などに検討されます。

Q.注射を始めれば、頭痛の薬は飲まなくてよくなりますか?

A.すべての方が不要になるわけではありません。ただ今回の研究では、CGRP関連抗体薬の治療が続くにつれて、急性期治療薬や従来の予防薬の処方割合が低下していました。

Q.どのくらい治療を続ければ効果が分かりますか?

A.一般には数か月程度治療を続けながら、頭痛日数や生活への影響を評価します。自己判断で中断せず、治療効果と費用のバランスを主治医と相談することが大切です。

当院の片頭痛・頭痛外来について

シーサー通り内科リハビリクリニックでは、
片頭痛を含めたさまざまな頭痛について診療を行っています。

「頭痛薬を飲む回数が増えてきた」
「月に何度も片頭痛で仕事や家事ができない」
「市販薬だけで対応している」という方もお気軽にご相談ください。

当院では頭痛のタイプを確認し、急性期治療だけでなく、
必要に応じてCGRP関連抗体薬などの予防治療も含めてご提案します。

那覇市・浦添市・沖縄県南部で片頭痛や繰り返す頭痛にお困りの方は、
シーサー通り内科リハビリクリニックへご相談ください。

引用文献

Takizawa T, Takemura R, Ueda K, Miki Y, Hashimoto C.
Real-World Characteristics and Treatment Patterns of Calcitonin Gene-Related Peptide Monoclonal Antibody Users: a Japanese Claims Database-Based Study.
Pain Ther. 2026;15:1065-1083. Published online May 7, 2026.