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脳神経内科認知症

物忘れは年齢のせい?海馬・神経新生・認知症の関係を沖縄県那覇市の認知症専門医が解説

大人の脳でも神経は生まれる?

〜認知症予防と「海馬」を守る生活習慣〜

「年をとると、脳の神経細胞は減るだけ」と思っていませんか。
たしかに加齢とともに脳の働きは変化します。

しかし近年、大人の脳でも一部の場所では、新しい神経細胞が
生まれている可能性があることが分かってきました。

その代表的な場所が「海馬」です。
海馬は、記憶を作る、整理する、思い出す働きに関わる、
脳の中でもとても大切な場所です。

アルツハイマー病では、この海馬が早い段階から影響を受けやすく、
物忘れや同じ話を繰り返す症状につながることがあります。

2026年にNature誌に発表された研究では、若い成人、健康な高齢者、
アルツハイマー病の方、そして非常に記憶力が保たれた高齢者の
海馬を詳しく調べています。

その結果、大人の海馬にも「神経のもとになる細胞」や、
「成長途中の若い神経細胞」と考えられる細胞が確認されました。

これは、脳の老化や認知症を考えるうえで、とても希望のある
新しい知見です。

【海馬と物忘れ:認知症で最初に注目したい場所】

海馬は、脳の中の「記憶の司令塔」のような場所です。
昨日の出来事、約束、会話の内容、新しく覚えたことなどを
整理する働きに関わっています。

年齢とともに多少の物忘れは誰にでも起こります。
たとえば「人の名前がすぐ出てこない」「何を取りに来たか忘れる」
といった経験は、多くの方にあります。

一方で、認知症が疑われる物忘れでは、体験したこと自体を忘れる、
同じ質問を何度もする、薬やお金の管理が難しくなる、
慣れた道で迷う、料理の手順が分からなくなることがあります。

こうした変化がある場合は、「年のせい」と決めつけず、
早めに相談することが大切です。

認知症の中でも多いアルツハイマー病では、海馬を中心とした
記憶のネットワークが障害されやすいとされています。

今回の研究では、海馬の中にある細胞を細かく調べることで、
神経が生まれ、成長していく流れが大人の脳にも存在する
可能性が示されました。

ただし、これは「神経が増えれば認知症が治る」という単純な話では
ありません。現時点では、治療法としてすぐ使える段階ではなく、
今後の研究が必要です。

それでも、認知症を早期に見つけること、生活習慣を整えること、
脳を守る行動を続けることの重要性を後押しする内容といえます。

【神経新生と認知症:若い神経細胞が減る可能性】

神経新生とは、新しい神経細胞が生まれ、少しずつ成長して、
脳のネットワークに参加していく流れのことです。

研究では、アルツハイマー病の方では、神経芽細胞や未熟な神経細胞が
少なくなっていることが示されました。

神経芽細胞とは、神経細胞になる途中の若い細胞のことです。
未熟な神経細胞とは、まだ成長途中で、これから記憶の回路に
関わっていく可能性のある細胞です。

つまり、アルツハイマー病では、海馬の神経を新しく育てる力が
弱くなっている可能性があります。

さらに興味深いのは、はっきりした認知症になる前の段階でも、
神経のもとになる細胞に変化が起きている可能性が示された点です。

これは、症状が目立つ前から、脳の中では小さな変化が始まっている
かもしれない、ということを意味します。

この研究では「遺伝子の働きやすさ」にも注目しています。
遺伝子は体の設計図のようなものですが、すべてが常に働いている
わけではありません。

必要な遺伝子が働きやすい状態か、働きにくい状態かによって、
細胞の成長や修復の力が変わる可能性があります。

アルツハイマー病では、この遺伝子の使われ方にも変化があり、
神経の成長や情報伝達に関わる仕組みが乱れている可能性が
示されました。

認知症は、神経細胞が減るだけの病気ではありません。
神経を支える環境、血管、炎症、睡眠、生活習慣病などが複雑に
関係して起こる病気と考えることが大切です。

【スーパーエイジャーに学ぶ:脳を守る生活習慣】

今回の研究では「スーパーエイジャー」と呼ばれる方々も調べられました。
スーパーエイジャーとは、80歳以上でも50〜60歳代に近い記憶力を
保っている高齢者のことです。

研究では、スーパーエイジャーの海馬では、若い神経細胞が多い傾向が
ありました。これは、年齢を重ねても脳の回復力やしなやかさが
保たれている可能性を示しています。

もちろん、スーパーエイジャーの脳がなぜ若々しく保たれるのかは、
まだ完全には分かっていません。

遺伝、運動、食事、睡眠、人との交流、生活習慣病の管理など、
多くの要因が関係していると考えられます。

しかし、認知症予防のために今日からできることはあります。
まず大切なのは、高血圧、糖尿病、脂質異常症をきちんと管理することです。

血管が傷むと、脳への血流が悪くなり、脳梗塞や認知機能低下の
リスクが高まります。脳を守るには、血管を守ることが重要です。

次に、運動習慣です。
ウォーキングや軽い筋トレは、血流を良くし、筋力低下や転倒予防にも
つながります。

睡眠も大切です。
睡眠不足や睡眠時無呼吸症候群があると、日中の眠気だけでなく、
記憶力や集中力にも影響することがあります。

さらに、人と話す、外に出る、趣味を続けることも脳へのよい刺激に
なります。社会的な孤立は、認知機能低下のリスクになることが
知られています。

物忘れが気になる方は、早めに相談することで、治療できる原因が
見つかることもあります。

甲状腺の病気、ビタミン不足、うつ状態、薬の副作用、睡眠障害などは、
認知症のように見えても改善できる場合があります。

「最近少しおかしいかも」と感じた時点で相談することが、
脳を守る第一歩です。

まとめ

大人の脳でも、海馬では新しい神経細胞が生まれる可能性があります。
そしてアルツハイマー病では、その流れが乱れている可能性が
最新研究で示されました。

一方で、記憶力を高く保つスーパーエイジャーには、脳の回復力を
示す特徴があるかもしれません。

認知症予防で大切なのは、特別なことではありません。
血圧、血糖、脂質を整え、よく歩き、よく眠り、人と関わることです。

物忘れが気になる場合は、年齢のせいと決めつけず、早めに
脳神経内科や認知症診療に対応した医療機関へ相談しましょう。

当院からのお知らせ

那覇市・浦添市・沖縄県で、物忘れ、認知症予防、軽度認知障害、
アルツハイマー病、生活習慣病管理でお困りの方は、
シーサー通り内科リハビリクリニックへご相談ください。

当院では、内科・脳神経内科・リハビリテーションの視点から、
認知機能、血圧、糖尿病、脂質異常症、睡眠、運動機能を
総合的に評価します。

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リハビリについてお困りの方は、シーサー通り内科リハビリクリニックが
一人ひとりに合わせた診療とサポートを行います。

引用情報

Disouky A, Sanborn MA, Sabitha KR, et al. Human hippocampal neurogenesis in adulthood, ageing and Alzheimer’s disease. Nature. 2026. DOI: 10.1038/s41586-026-10169-4.