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脂肪肝は放置して大丈夫?MASLD診療ガイドライン2026を内科専門医が解説
健康診断で「脂肪肝があります」と言われても、症状がないため
「お酒を控えれば大丈夫」と、そのままにしている方は少なくありません。
しかし、脂肪肝に対する考え方は近年大きく変わっています。
現在注目されている新しい病名が「MASLD(マッスルド)」です。
2026年には日本の新しいMASLD診療ガイドラインが公表され、
脂肪肝を肝臓だけでなく全身の病気として管理する重要性が示されました。
【① MASLDとは?「ただの脂肪肝」ではない新しい考え方】
MASLDは「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患」という病気です。
以前「NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)」と呼ばれていた病態に近い概念です。
肝臓に脂肪がたまっているだけでなく、肥満、高血圧、糖尿病、
脂質異常症などの代謝異常が関係することを重視した名称になりました。
ガイドラインでは、画像検査などで肝臓への脂肪蓄積を認め、
さらに心臓や代謝に関係する危険因子を持つ場合にMASLDを考えます。
日本でのMASLDの有病率は約25.5%と報告されており、
決して珍しい病気ではなく、成人の約4人に1人に相当します。
重要なのは、一部の患者さんでは炎症や「線維化」が進むことです。
線維化とは、肝臓が傷つき続けて硬く変化していく状態を意味します。
線維化が進行すると、肝硬変や肝細胞がんにつながる可能性があり、
MASLDでは脂肪の量以上に「肝臓が硬くなっていないか」が重要です。
【② 脂肪肝ではFIB-4が重要|血液検査で肝臓の硬さを予測】
そこで2026年ガイドラインが重視しているのが「FIB-4 index」です。
これは年齢、AST、ALT、血小板数から計算できる簡単な指標です。
特別な検査ではなく、一般的な健康診断や外来の血液検査データから、
肝臓の線維化が進んでいる可能性を推測できることが大きな特徴です。
FIB-4が高い場合には、超音波を利用して肝臓の硬さを測定する
エラストグラフィなど、さらに詳しい検査を検討します。
ガイドラインではFIB-4が2.67を超える場合などには専門医への紹介を考え、
年齢によって判定基準を調整することも示されています。
一方、脂肪肝があっても全員が肝硬変になるわけではありません。
大切なのは「脂肪肝があるか」だけでなく「線維化リスク」を調べることです。
さらにMASLDは、肝臓だけに注意すればよい病気でもありません。
ガイドラインではMASLD自体が、従来の危険因子とは別に、
心血管病や脳血管障害と関連することも指摘されています。
肥満、高血圧、耐糖能異常、中性脂肪高値、低HDLコレステロールなどは、
MASLDと心筋梗塞・脳卒中に共通する重要な危険因子です。
【③ MASLDの治療|5%の減量と週150分の運動がポイント】
MASLD治療の基本は、現在も食事と運動を中心とした生活習慣の改善です。
薬を使用する場合にも、この基本治療を続けることが推奨されています。
2026年ガイドラインでは、体重を5%以上減らすことで肝脂肪が改善し、
10%以上の減量では肝線維化が改善する可能性が示されています。
肥満がない方でも、体重を3〜5%程度減らすことで効果が期待できます。
極端な食事制限ではなく、日本食などバランスのよい食事が大切です。
運動も非常に重要です。有酸素運動と筋力トレーニングを合わせて、
週150分以上行うことで、体重が大きく減らなくても効果が期待できます。
また糖尿病や肥満を合併するMASLDでは、GLP-1受容体作動薬や
SGLT2阻害薬などについても新しい研究が進んでいます。
ただし、これらの薬を「脂肪肝だから」という理由だけで使用するものではなく、
糖尿病・肥満などの合併症を含め、適応を総合的に判断する必要があります。
つまりMASLD対策で大切なのは、肝臓だけを見ることではありません。
体重、血圧、血糖、脂質、運動、喫煙などをまとめて管理することなのです。
【よくある質問 Q&A】
Q.健康診断で脂肪肝と言われました。放置しても大丈夫ですか?
A.一度は線維化リスクを評価することをおすすめします。
AST・ALTがそれほど高くなくても、線維化が進行している場合があります。
Q.FIB-4は特別な血液検査ですか?
A.いいえ。年齢・AST・ALT・血小板数から計算します。
通常の採血結果があれば計算できることが大きなメリットです。
Q.肝機能が正常ならMASLDではありませんか?
A.必ずしもそうではありません。肝機能の数値だけではなく、
画像検査、代謝異常、FIB-4などを組み合わせて評価します。
Q.脂肪肝には運動と減量のどちらが大切ですか?
A.両方重要です。運動には体重減少とは独立した効果もあり、
週150分以上の有酸素運動・筋力運動が目安として示されています。
【那覇市で脂肪肝・MASLDが気になる方へ】
シーサー通り内科リハビリクリニックでは、脂肪肝を「肝臓だけの問題」と考えず、
高血圧・糖尿病・脂質異常症・動脈硬化まで含めて総合的に評価します。
血液検査に加えて、必要に応じて腹部超音波などを組み合わせ、
将来の肝疾患だけでなく心筋梗塞・脳卒中の予防にもつなげていきます。
「健診で脂肪肝と言われた」「AST・ALTが高い」「最近体重が増えた」など、
気になることがあれば、那覇市・浦添市をはじめ沖縄県内の方もご相談ください。
【参考文献】
Akuta N, Kogiso T, Ikejima K, et al.
Evidence-based clinical practice guidelines for metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease (MASLD) 2026.
J Gastroenterol. 2026;61:693–710. DOI: 10.1007/s00535-026-02408-2
