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脳卒中脳神経内科

脳梗塞の原因がわからない人へ|頸動脈プラークが鍵になる最新研究

原因不明の脳梗塞に新しい視点

「首の血管」がカギになる可能性

脳梗塞は、脳の血管が詰まることで起こる病気です。
しかし詳しく検査しても原因がわからないケースがあります。

その代表が**ESUS(イーサス)**です。
これは「塞栓性脳卒中のうち原因不明のもの」を指します。

これまでESUSでは、心臓の異常や不整脈が
原因ではないかと考えられてきました。
特に心房細動が隠れているケースが注目されてきました。

しかし最近になり、別の原因が注目されています。
それが頸動脈プラークです。

頸動脈とは、首にある太い血管で、
脳へ血液を送る重要な役割があります。
この血管の壁に脂肪などがたまったものがプラークです。

従来は、血管を強く狭くするプラークが問題視されていました。
しかし現在では、あまり狭くしていなくても、
崩れやすい危険なプラークがあることが分かっています。

つまり、見た目では軽そうでも、
脳梗塞の原因になる可能性があるのです。

【ESUSと頸動脈プラーク:原因不明の脳梗塞の新しい原因】

最新の研究では、ESUS患者を対象に、
頸動脈プラークの特徴が詳しく調べられました。

その結果、危険なプラークは、
脳梗塞が起きた側と同じ側の頸動脈に多く見られました。

これは偶然ではなく、
プラークが原因となって脳梗塞を起こした可能性を示します。

さらに重要な点として、
このような患者では心房細動などの
「心臓由来の原因」が少ないことも分かりました。

つまり、これまで原因不明とされていた脳梗塞の一部は、
実は首の血管が原因だった可能性があるのです。

この考え方は、診断や治療の方針を変える
重要なヒントになります。

【CTA検査でわかる「危険なプラーク」とは?】

では、どうやって危険なプラークを見つけるのでしょうか。

ここで重要になるのが**CTA(CT血管造影)**です。
これは造影剤を使って血管を詳しく見る検査です。

この検査では、単に血管の狭さだけでなく、
プラークの状態まで詳しく評価できます。

例えば以下のような特徴があると危険です。

・プラークの表面が崩れている
・内部に出血がある
・血栓(血のかたまり)が付着している
・血管の壁が不規則に厚くなっている

これらを総合的に評価する方法が、
Plaque-RADSという分類です。

この分類は再現性が高く、
医師同士でも判断が一致しやすいことが確認されています。

これまでの診療では、
「何%狭いか」が重視されてきました。

しかし今後は、
プラークの質=どれだけ危険か
より重要になると考えられます。

【脳梗塞の再発を防ぐために重要なポイント】

脳梗塞は一度起こすと、
再発のリスクが高い病気です。

今回の研究では、
危険なプラークを持つ患者では、
同じ側の脳梗塞が再発しやすいことが分かりました。

つまり、原因を見逃すと、
再発を防ぐチャンスも逃してしまう可能性があります。

これまでESUSでは、
抗凝固薬(血をサラサラにする薬)が
検討されることもありました。

しかし、もし原因が頸動脈プラークであれば、
動脈硬化の治療や生活習慣の改善が
より重要になる可能性があります。

例えば以下が重要です。

・コレステロール管理
・血圧管理
・糖尿病のコントロール
・禁煙
・適度な運動

つまり、「原因に応じた予防」が
これからますます重要になります。

脳梗塞は突然起こる病気ですが、
多くは日々の生活習慣と深く関係しています。

今回の研究は、
「原因不明」で終わらせず、
一歩踏み込んだ評価の重要性を示しています。

まとめ

原因不明とされる脳梗塞(ESUS)の中には、
首の血管にあるプラークが関係している場合があります。

特に、あまり狭くしていなくても、
崩れやすいプラークは注意が必要です。

CTA検査によって、
こうした危険なプラークを見つけることで、
再発予防の精度が高まる可能性があります。

今後は「狭さ」だけでなく、
「プラークの危険性」を見ることが、
脳梗塞診療の新しいポイントになりそうです。

当院からのお知らせ

那覇市・浦添市・沖縄県で、
脳梗塞、動脈硬化、生活習慣病、再発予防でお困りの方は、
シーサー通り内科リハビリクリニックへご相談ください。

当院では、脳神経内科専門医による診療に加え、
動脈硬化の評価や再発予防のサポートを行っています。

「原因がはっきりしない脳梗塞と言われた」
「再発が不安でしっかり対策したい」
そのような方に、分かりやすく丁寧にご説明いたします。

引用

Cascio Rizzo A, et al.
CTA-Based Plaque-RADS to Assess Etiologic Role of Nonstenotic Carotid Plaques in ESUS
Neurology. 2026