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多発性硬化症・視神経脊髄炎脳神経内科

視力低下・手足のしびれに注意|NMOSDの症状と治療法

    視神経脊髄炎NMOSDとは?

    〜再発を防ぐことが大切な脳神経内科の病気〜

    視神経脊髄炎スペクトラム障害、略してNMOSDは、
    目の神経や脊髄、脳の一部に炎症が起こる病気です。

    「視神経脊髄炎」と聞くと難しく感じますが、
    簡単にいうと、免疫の異常によって神経が攻撃される病気です。

    免疫とは、本来はウイルスや細菌から体を守る仕組みです。
    しかしNMOSDでは、その免疫が自分の神経を傷つけてしまいます。

    とくに問題になりやすいのが、視神経と脊髄です。
    そのため、急な視力低下、目の痛み、手足のしびれ、脱力、
    歩きにくさ、排尿障害などで発症することがあります。

    NMOSDは再発を繰り返すと、視力障害や歩行障害などの後遺症が
    残ることがあります。そのため、発作が起きた時の治療だけでなく、
    再発を防ぐ治療がとても重要です。

    【NMOSDの症状:視力低下・しびれ・歩きにくさに注意】

    NMOSDで代表的な症状は、視神経炎と脊髄炎です。
    視神経炎では、片目または両目の見えにくさ、視野の欠け、
    目を動かした時の痛みなどが起こることがあります。

    脊髄炎では、手足のしびれ、力が入りにくい、歩きにくい、
    体の一部の感覚が鈍い、尿が出にくい、尿が近いといった
    症状が出ることがあります。

    また、吐き気やしゃっくりが続く、めまい、ふらつき、
    強いだるさなどで始まることもあります。

    NMOSDは多発性硬化症と似た症状を示すことがありますが、
    治療方針が異なるため、正確な診断が大切です。

    診断では、症状の経過、MRI検査、血液検査などを組み合わせます。
    とくにアクアポリン4抗体という自己抗体が重要です。

    自己抗体とは、本来は自分を守るはずの免疫が、
    自分の体の一部を攻撃してしまう時に関係する抗体です。

    急な視力低下や手足のしびれがある場合は、
    「疲れ」や「年齢のせい」と決めつけず、早めに医療機関へ
    相談することが大切です。

    【NMOSDの治療:発作治療と再発予防が大切】

    NMOSDの治療は、大きく2つに分けられます。
    ひとつは、発作が起きた時に炎症を抑える治療です。
    もうひとつは、次の発作を防ぐ再発予防治療です。

    発作時には、ステロイド点滴治療が行われることがあります。
    重症の場合や効果が不十分な場合には、血漿交換療法という
    血液中の病気に関わる成分を取り除く治療を検討することもあります。

    しかし、NMOSDで本当に大切なのは再発予防です。
    発作を繰り返すたびに神経が傷つき、後遺症が積み重なることが
    あるためです。

    近年は、NMOSDに対してさまざまな再発予防薬が使えるように
    なってきました。

    そのひとつがイネビリズマブです。
    イネビリズマブは、CD19という目印を持つB細胞を減らす薬です。

    B細胞とは、免疫に関わる細胞の一種です。
    NMOSDでは、このB細胞が病気に関わる抗体の産生に関係すると
    考えられています。

    一方、リツキシマブはCD20という目印を持つB細胞を標的にする薬です。
    NMOSDの再発予防として、世界中で使われてきた治療のひとつです。

    どちらもB細胞を抑える治療ですが、標的とする細胞の範囲が
    少し異なります。その違いが、効果や安全性に影響する可能性があります。

    【最新研究:イネビリズマブとリツキシマブの比較】

    2026年に発表された多施設研究では、NMOSDの患者さん229人を対象に、
    イネビリズマブと低用量リツキシマブの効果と安全性が比較されました。

    対象は、アクアポリン4抗体が陽性のNMOSD患者さんです。
    119人がイネビリズマブ、110人が低用量リツキシマブで治療され、
    約1年間の経過が調べられました。

    結果として、再発した人はイネビリズマブ群で8人、
    低用量リツキシマブ群で24人でした。

    割合でみると、イネビリズマブ群では6.72%、
    低用量リツキシマブ群では21.82%でした。

    また、1年間再発しなかった割合は、イネビリズマブ群で約93.6%、
    低用量リツキシマブ群で約77.6%と報告されています。

    この研究では、イネビリズマブの方が低用量リツキシマブよりも、
    短期間では再発を抑える効果が高い可能性が示されました。

    安全性については、副作用全体の頻度に大きな差はありませんでした。
    ただし、感染症を起こした人の割合は、イネビリズマブ群で8.40%、
    低用量リツキシマブ群で22.72%と報告されています。

    一方で、この研究には注意点もあります。
    観察期間は1年間と短く、比較対象は「低用量」のリツキシマブです。
    通常量のリツキシマブとの比較ではない点に注意が必要です。

    つまり、この結果だけで「すべての患者さんに同じ薬が最適」と
    言い切ることはできません。

    NMOSDの治療は、年齢、症状、再発歴、抗体、妊娠希望、感染症リスク、
    費用、通院しやすさなどを含めて、総合的に判断する必要があります。

    まとめ

    NMOSDは、視神経や脊髄を中心に炎症が起こる自己免疫の病気です。
    急な視力低下、手足のしびれ、歩きにくさ、排尿障害などがある場合は、
    早めの相談が大切です。

    治療では、発作時の対応だけでなく、再発を防ぐことが重要です。
    再発を繰り返すと、視力や歩行機能に後遺症が残ることがあります。

    最新研究では、イネビリズマブが低用量リツキシマブよりも、
    短期間では再発を抑える可能性が示されました。

    ただし、治療薬の選択は一人ひとり異なります。
    自己判断で治療を中断せず、脳神経内科専門医と相談しながら、
    長く続けられる再発予防を考えることが大切です。

    当院からのお知らせ

    那覇市・浦添市・沖縄県で、視力低下、手足のしびれ、歩きにくさ、
    視神経脊髄炎、NMOSD、多発性硬化症との鑑別、神経免疫疾患で
    お困りの方は、シーサー通り内科リハビリクリニックへご相談ください。

    当院では、内科・脳神経内科・リハビリテーションの視点から、
    神経症状の評価、画像検査、血液検査、再発予防、生活支援、
    リハビリまで総合的にサポートします。

    那覇市・浦添市・沖縄県で、しびれ、脱力、歩行障害、物が見えにくい、
    神経の病気が心配という方は、シーサー通り内科リハビリクリニックへ
    お気軽にご相談ください。

    引用情報

    Xu Q, Zhang L, Duan X, et al. Real-World Multicenter Cohort Study of
    Inebilizumab vs Low-Dose Rituximab in Neuromyelitis Optica Spectrum Disorders.
    Neurology: Neuroimmunology & Neuroinflammation. 2026;13:e200586.