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脳神経内科認知症

高齢者のせん妄・不眠治療|トラゾドンは安全?抗精神病薬との比較をわかりやすく解説

せん妄の薬はどれが安全?

トラゾドンと抗精神病薬をやさしく解説

入院後や体調を崩したときに、
急に落ち着きがなくなったり、
夜眠れず昼夜が逆転したりすることがあります。

この状態は「せん妄」と呼ばれ、
特に高齢者で起こりやすいのが特徴です。

せん妄になると、
転倒や点滴の自己抜去、
興奮などが問題となるため、
薬が使われることがあります。

これまでよく使われてきたのが、
リスペリドンやクエチアピンなどの
「抗精神病薬」です。

一方で最近は、
「トラゾドン」という薬が、
より安全なのではないかと注目されています。

今回は、最新の研究をもとに、
どの薬がより安全なのか、
わかりやすく解説します。

【せん妄治療はまず薬を使わない】

まず大切なポイントは、
せん妄の治療は薬が第一ではないということです。

せん妄は、
・感染症
・脱水
・薬の副作用
・環境の変化
などが原因で起こります。

そのため、まず行うべきは、
原因を整えることです。

具体的には、
・昼と夜のリズムを整える
・水分や栄養を補う
・周囲の環境を落ち着かせる
といった対応が重要です。

薬は、
どうしても危険がある場合に
追加で使うものです。

【抗精神病薬のリスクとは】

抗精神病薬は、
興奮や不穏を抑える効果がありますが、
副作用にも注意が必要です。

代表的な副作用は、
・強い眠気
・ふらつき(転倒の原因)
・肺炎
・認知機能の悪化
などです。

さらに、
高齢者では死亡リスクとの関連も
指摘されています。

そのため、
「とりあえず使う薬」ではなく、
慎重に判断する必要があります。

【トラゾドンは本当に安全?】

今回の研究では、
65歳以上の患者さんを対象に、
トラゾドンと抗精神病薬の安全性が
比較されました。

その結果、
トラゾドンを使った人のほうが、

・再入院が少ない
・せん妄による再入院が少ない
・死亡リスクが低い

という結果でした。

つまり、
全体としてトラゾドンのほうが
安全な可能性が示された
のです。

ただし、
ここで注意が必要です。

この研究は、
実際の診療データを使った「観察研究」です。

観察研究とは、
現実の結果を比較する研究であり、
薬の効果を完全に証明するものではありません。

そのため、
「トラゾドンなら必ず安全」と
言い切ることはできません。

また、
トラゾドンにも
眠気やふらつきといった副作用はあり、
特に高齢者では注意が必要です。

【薬の選び方で一番大切なこと】

今回の研究からわかるのは、
とてもシンプルです。

それは、
「できるだけ薬を使わない」
「使うなら安全性を最優先に考える」

ということです。

実際の診療では、
・本当に薬が必要か
・原因の治療はできているか
・転倒のリスクはないか
・患者さんの体力や認知機能
などを総合的に判断します。

トラゾドンは、
抗精神病薬より安全な可能性がありますが、
万能な薬ではありません。

大切なのは、
患者さん一人ひとりに合わせた治療です。

ご家族としては、
「急に様子がおかしい」
「夜になると混乱する」
と感じたときは、
早めに医療機関へ相談することが重要です。

せん妄は早期対応で、
改善する可能性が高い病気です。

まとめ

今回の研究では、
高齢者のせん妄に対して、

・トラゾドンは抗精神病薬より安全な可能性
・再入院や死亡リスクが低い傾向
が示されました。

しかし、
せん妄治療の基本は、
薬に頼ることではありません。

原因を整え、
必要な場合のみ薬を使うことが重要です。

「最近急に様子が変わった」という変化は、
体や脳からの重要なサインです。

見逃さずに対応することが、
予後を大きく左右します。

当院からのお知らせ

那覇市・浦添市・沖縄県で、せん妄、もの忘れ、認知症、
入院後の混乱、不眠、転倒でお困りの方は、
シーサー通り内科リハビリクリニックへご相談ください。

当院では、内科・脳神経内科・リハビリ専門医が、
せん妄の原因評価、認知機能のチェック、
薬剤調整、転倒予防、リハビリまで
総合的に対応しています。

「入院後から様子が変わった」
「夜の混乱が強い」
「薬の影響が心配」
そのような方は、お気軽にご相談ください。

引用

Yang CT, Wilkins JM, Pritchard KT, et al.
Safety outcomes of trazodone versus antipsychotics for delirium after hospital admission in adults aged 65 years and older.
The Lancet Healthy Longevity. 2025;6:100804.
https://doi.org/10.1016/j.lanhl.2025.100804