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【非薬物療法で認知症ケア】アルツハイマー病に効果的なリハビリとは?
薬に頼らない認知症ケアとは?
アルツハイマー病などの認知症に対して、薬による治療だけでなく、薬を使わないケア=**非薬理学的治療(NPTs)**が注目されています。
非薬理学的治療には、リハビリ、認知トレーニング、家族支援などが含まれ、患者さんだけでなく家族の生活の質(QoL)も高める効果が期待されています。
今回ご紹介する研究では、過去の多くの臨床試験(RCT)を分析し、どの治療法が特に効果的かをまとめています。
その結果、日常生活の質を高めるためには、さまざまな方法を組み合わせたアプローチが有効だとわかりました。
どんな非薬理学的治療が効果的なのか?
この大規模レビューでは、1,300以上の候補研究から179の信頼性の高い研究が選ばれました。
そこから以下のような治療法に効果があることがわかりました。
1. 認知機能を改善する方法
- 認知トレーニング(Cognitive Training):記憶力や注意力を鍛えるトレーニングです。
- 認知刺激療法(Cognitive Stimulation):グループでゲームやパズルなどを通じて脳を活性化します。
- 多面的介入(Multicomponent interventions):運動、頭の体操、社会交流を組み合わせた包括的なプログラムです。
2. 日常生活動作(ADL)を維持する方法
- ADLトレーニング:着替え、食事、トイレなどの日常動作を練習し、自立を促します。
- 多面的介入:日常生活全般をサポートし、生活の質を守ります。
3. 行動・心理症状や気分を改善する方法
- 行動療法:不安や興奮などの行動症状に対して、環境を整えたり、声かけを工夫する方法です。
- 介護者支援プログラム:家族のストレスを軽減することで、間接的に患者さんの行動も安定します。
これらの介入は、患者さんご本人だけでなく、介護者の方の心の健康や生活の質にも良い影響を与えることがわかりました。
家族や介護者への支援も重要
アルツハイマー病のケアでは、患者さんだけでなく、**介護する家族(Caregivers, CG)**のサポートもとても重要です。
今回の研究では、以下の点で家族支援が効果を発揮すると示されています。
- 介護者自身の気分改善(Mood)
- 心理的な健康維持(Psychological Well-being)
- 生活の質の向上(Quality of Life)
特に、**介護者教育(CG Education)やサポートグループ(CG Support)**が効果的とされ、孤立しがちな家族を支えることが重要視されています。
また、プロフェッショナルによるトレーニングを受けた介護者は、拘束予防にもつながり、患者さんの尊厳を守るケアが実現しやすくなることもわかりました。
まとめ:認知症ケアにおける非薬理学的治療の可能性
今回の系統的レビューから、非薬理学的治療は以下の点で効果が期待できることがわかりました。
- 認知機能や日常生活能力を維持・改善する
- 行動症状や気分障害を軽減する
- 患者さんと家族双方の生活の質を向上させる
薬物治療だけに頼るのではなく、こうした「人間らしさを支えるケア」を組み合わせることが、認知症ケアのこれからのスタンダードになっていきそうです。
当院では、認知症患者さん向けのリハビリテーション、認知刺激プログラム、介護者支援プログラムを積極的に取り入れ、
患者さんとご家族のより良い生活をサポートしています。
お気軽にご相談ください。
【引用文献】
Olazarán J, Reisberg B, Clare L, et al. Nonpharmacological therapies in Alzheimer’s disease: a systematic review of efficacy. Dement Geriatr Cogn Disord. 2010;30(2):161-178. doi:10.1159/000316119
