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【認知症ケアに必須】リハビリが生活の質を高める理由とは?
認知症の方にリハビリは本当に必要?
認知症を抱えた高齢者の方々は、記憶や思考だけでなく、体を動かす力も少しずつ低下していきます。
特に長期介護施設(LTC)に入所している方は、歩行や着替え、食事などの日常生活動作(ADL)が難しくなり、生活の質(Quality of Life:QoL)も下がりやすいとされています。
こうした背景の中、**リハビリテーション(リハビリ)**が認知症ケアにどれほど効果があるのか、世界中で研究が進められています。
今回ご紹介する大規模なレビュー研究は、リハビリが実際にどのくらい効果を発揮するかを科学的に検証したものです。
リハビリは日常生活動作を改善する
今回の研究では、33の研究、3,072人もの認知症患者さんのデータが解析されました。
主な結果は次のとおりです。
- リハビリを受けたグループは、日常生活動作(ADL)が大きく改善した(12研究、1,348人、標準化平均差 0.78、95%CI 0.27〜1.30)。
- 特に、歩行や立ち上がり動作の改善が認められた(下肢機能テストでの改善も確認)。
- 一方、歩く速さや6分間歩行テストでの大きな改善は見られず、リハビリの効果は一部限定的でした。
つまり、着替え、トイレ動作、食事などのADL能力を高めるにはリハビリが有効であることが示されたのです。
特に中等度の認知症患者さんでは効果が大きく、生活の自立度向上に役立つ可能性が高いといえます。
リハビリによる生活の質向上は限定的
生活の質(QoL)に関しては、リハビリによる改善効果は大きくないこともわかりました。
4つの研究をまとめた結果では、生活の質の向上はわずか(標準化平均差 0.20)にとどまったのです。
これは、生活の質という広い概念が、リハビリだけでなく、
- 心理的サポート
- 環境要因(施設の雰囲気など)
- 家族との交流
など、さまざまな要素に影響されるためと考えられます。
つまり、リハビリは確かに体の機能を高めますが、心のケアや周囲の環境づくりも同時に行うことが大切なのです。
どんなリハビリが効果的?
今回のレビューでは、リハビリの内容も詳しく分析されています。
効果が高かったのは次のような方法でした。
- 複合型プログラム:筋力トレーニング、バランス訓練、歩行訓練を組み合わせたもの
- グループエクササイズ:複数人で楽しく取り組むことで、社会交流も促進
- 個別に調整されたプログラム:患者さんの体力や症状に合わせて強度や内容を調整
逆に、短期間だけのリハビリや、十分な強度に達していない運動では、あまり効果が出ないこともわかりました。
つまり、継続的で、かつ個別に最適化されたリハビリが成功のカギです。
まとめ:認知症ケアにリハビリは欠かせない存在
今回の研究から、次のことが明らかになりました。
- リハビリは、認知症患者さんの日常生活動作の改善に役立つ。
- 歩行能力や生活の質の向上には追加的な工夫が必要。
- リハビリプログラムは、個別性と継続性が重要。
認知症ケアにおいて、薬だけでなく、体を動かし、自立を支えるリハビリの役割は今後さらに重要になります。
ご家族の方や介護施設スタッフの皆さまも、積極的にリハビリ導入を検討してみてください。
当院では、認知症患者さん向けのリハビリテーションを実施し、
ADL改善、転倒予防、生活の質向上を目指したサポートを行っています。
個別にプログラムを調整し、患者さん一人ひとりに寄り添ったケアを提供しています。
お気軽にご相談ください!
【引用文献】
McArthur C, Alizadehsaravi N, Affoo R, et al. Effectiveness of physical rehabilitation for physical functioning and quality of life in long-term care residents with dementia: a systematic review and meta-analysis. JBI Evidence Synthesis. 2024;22(8):1460–1535. doi:10.11124/JBIES-23-00431
