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お酒とがんの関係とは?肝臓がん・食道がん・大腸がんに要注意

お酒とがんの深い関係──世界規模で明らかになった最新データ

お酒はほどほどに楽しめばリラックス効果もありますが、過剰な飲酒はさまざまな病気のリスクを高めます。
中でも近年注目されているのが、「アルコールに起因するがん」の増加です。

2025年4月に発表された最新の世界調査では、飲酒によって命を落とすがん患者が世界で34万人以上に上ることが明らかになりました。
本記事では、この重要な研究をもとに、飲酒とがんの関係について3つの視点からわかりやすく解説します。

【お酒が関係するがんの種類とその割合】

今回の研究は、世界的な調査データをまとめた「2021年世界疾病負担調査(Global Burden of Disease Study)」に基づいています。
2021年の1年間で、飲酒が原因とされるがんによって亡くなった人は343,370人。2000年からの20年間で51%も増加していました。

アルコールが原因とされるがんの中でも、特に多かったのが次の3つです。

  • 肝臓がん(全体の27%)
  • 食道がん(24%)
  • 大腸がん(16%)

これらはすべて消化管(胃や腸、肝臓など)のがんであり、お酒が直接通る・代謝される臓器が主に影響を受けていると考えられます。
飲酒は単なる習慣ではなく、「消化器がんのリスク要因」としてしっかり意識する必要があります。

【先進国と途上国で異なる傾向──格差が拡大中】

研究では、**国の発展レベル(SDI:社会人口統計学的指数)**ごとに死亡率の傾向も分析されました。

すると、次のような傾向が見られました。

  • 先進国では減少傾向(年平均変化率 -0.66%)
  • 低所得・中低所得国では増加傾向(+0.33%、+1.58%)

つまり、世界全体では「死亡率はやや下がっている」のに、がんによる死亡者数は増え続けているのです。
背景には、人口増加、高齢化、医療へのアクセスの格差などがあると考えられます。

また、地域別にみると、南アジア地域(インドやバングラデシュなど)では特に増加傾向が顕著でした。
公衆衛生対策の遅れや、飲酒文化の変化が関与している可能性があります。

【若年層にも影響が?“早期発症がん”の増加に注意】

さらに注目すべき点は、**15~49歳の若年層で口腔・口唇がんの死亡率がわずかに上昇(+0.40%)**していたことです。

この年齢層は、一般的にがんのリスクが低いとされていますが、
アルコールや喫煙などの生活習慣が原因となるがんの発症は若年化の傾向を見せているのです。

若いからといって油断は禁物です。
「まだ若いし大丈夫」と思っていても、日常的な飲酒が数十年後の健康に大きな影響を与える可能性があることを、私たちは理解する必要があります。

【まとめ:アルコールに起因するがんは防げる病気です】

今回の調査でわかったのは、「アルコールが原因となるがんの死亡者数は確実に増えている」という現実です。
そしてこれは、生活習慣を見直すことで予防できるがんでもあります。

  • 飲酒は「適量」を守る(週に日本酒1合未満が目安)
  • 定期的な健診を受ける(特に消化器系のがん検診)
  • 禁煙や食生活の改善も併せて行う

大切なのは、自分の健康は自分で守るという意識を持つこと。
ご自身やご家族の未来の健康のために、今日からできることを始めてみませんか?

出典

Danpanichkul P, Pang Y, Díaz LA, et al.
Alcohol-Attributable Cancer: Update From the Global Burden of Disease 2021 Study.
Aliment Pharmacol Ther. 2025 Apr 27. doi:10.1111/apt.70163.
https://doi.org/10.1111/apt.70163