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一般内科生活習慣病(高血圧・糖尿病など)

小児の高コレステロールに薬は必要?専門家が語る最新見解

子どもにスタチン治療は必要?

〜肥満や高コレステロールのある小児にどう向き合うか〜

最近、健康診断で子どものコレステロール値が高いと指摘され、驚いた保護者の方も多いのではないでしょうか。実は、動脈硬化の芽は子ども時代から育っているのです。

今回は、2025年7月の米国医学誌NEJMに掲載されたケーススタディをもとに、子どもへのスタチン(コレステロールを下げる薬)治療について、専門医の立場から3つの視点で解説します。

【なぜ子どもにコレステロールの問題が?】

〜背景には食生活・肥満・遺伝〜

この記事では、BMI(肥満度)が97パーセンタイル以上の10歳の男児が紹介されています。この子は、LDLコレステロール(悪玉)や中性脂肪が高く、血圧も基準値を超えていました。

実は、動脈硬化は大人になって突然起こるわけではなく、子どもの頃から血管に変化が始まっています。特に、肥満・高脂血症・高血圧といった「生活習慣病リスク」が重なると、その進行は加速します。

米国小児科学会(AAP)では、9~11歳の子ども全員にコレステロールのスクリーニングを推奨しており、こうした早期発見が重要とされています。

【スタチン治療を始めるべき?】

〜薬を使うべきタイミングとは〜

この子どものように、LDLコレステロールが130mg/dL以上あり、かつ高血圧や肥満などのリスクが複数ある場合、AAPガイドラインでは「スタチン治療を検討する」とされています。

一方で、まずは6か月以上の「生活習慣改善(食事・運動)」を行い、それでも改善がなければ薬を考えるという立場もあります。

スタチンは一般に副作用が少なく、小児でも安全性が確認されていますが、保護者からは「子どもに薬を飲ませるのは抵抗がある」との声が多く聞かれます。

だからこそ、医師・保護者・子どもがよく話し合い、「いつ、どのように治療を始めるか」を一緒に考えていくことが大切です。

【生活習慣の改善が最優先】

〜スタチンを使う前にできること〜

論文では、薬物療法に入る前に「生活習慣の見直し」が重要であることも強調されています。実際、アメリカでは子どもの98%が栄養ガイドラインを満たしておらず、75%は運動不足と報告されています。

特に中性脂肪が高い場合は、甘い飲み物やお菓子を控える、魚や野菜を多くとる、という「インスリン感受性を高める食事(地中海式など)」が効果的とされています。

また、体を動かすことで筋肉量が増え、インスリン抵抗性も改善し、コレステロールのバランスも自然に整いやすくなります。

薬はあくまで“最後の選択肢”。その前に、できることをしっかり積み重ねることが、将来の健康につながるのです。

【まとめ】

  • 子どもでも動脈硬化のリスクは存在し、早期の対策が重要です。
  • スタチンは有効な手段ですが、使うべきかは「リスクの程度」や「生活習慣改善の効果」を見ながら判断すべきです。
  • 家族ぐるみでの生活改善が、長期的な健康への第一歩になります。

【参考文献】

  • Marwah HK et al. Statin Therapy for Children. N Engl J Med. 2025;393(4):405-407. doi:10.1056/NEJMclde2414458
  • American Academy of Pediatrics Clinical Guidelines
  • Circulation 2025;128:1689–712.