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心筋梗塞や脳卒中後も運動不足が続く?最新研究が警鐘
心臓病と運動習慣の意外な関係
〜発症前から始まる「運動量の低下」に注意〜
健康を守るために「運動が大切」とよく言われますが、実際にはどのように心臓病と関わっているのでしょうか?
2025年7月に発表されたアメリカの大規模研究「CARDIA(カーディア)研究」では、心筋梗塞や脳卒中などの**心血管疾患(CVD)**の前後で、運動習慣がどのように変化するかが長期間にわたり調査されました。
この記事では、その最新知見をもとに、誰もが見直せる「日常の運動習慣」についてご紹介します。
【1】心臓病の12年前から運動が減り始めていた
―キーワード:前兆、ライフスタイル、予防―
CARDIA研究では、18歳から68歳までの約3000人を35年以上にわたり追跡し、「中〜高強度の運動量(MVPA)」の変化を調べました。MVPAとは、ウォーキングよりもやや強度の高い運動(たとえば速歩、ジョギング、サイクリングなど)を指し、週150分相当が推奨されています。
心臓病を発症した人は、発症の12年前から徐々に運動量が減り始めていたことが判明しました。
さらに、発症の2年前には急激な減少が見られ、回復することなくそのまま運動不足の状態が続いていました。
この結果は、「心臓病のリスクがある人は、かなり前から身体の不調や生活の変化が始まっている」ことを示しています。
【2】心臓病の後でも運動は回復しづらい
―キーワード:再発予防、リハビリ、運動継続―
心血管疾患を経験した後は、「もう運動はできないのでは?」と不安になる方も多いでしょう。しかし実際には、適度な運動こそが再発予防や生活の質向上に欠かせません。
ところが今回の研究では、心臓病を経験した方の多くがその後も十分な運動習慣を取り戻せていないことが明らかになりました。
特に以下のような傾向が見られました:
- 女性は男性よりも運動量が回復しづらい
- 黒人女性は全体で最も運動不足の傾向
- 脳卒中や心不全の方は特に運動量が低いまま
つまり、運動習慣を取り戻すには「周囲のサポート」や「個別のリハビリ支援」が必要だということです。
【3】日常生活の中で運動量を保つには?
―キーワード:習慣化、早期介入、健康づくり―
では、心臓病を予防・再発防止するためには、どのように運動と向き合えばよいのでしょうか?
研究の結果から導き出せる実践ポイントは以下の通りです:
- 若いうちから運動習慣を意識することが大切
特に30〜40代は仕事や子育てで忙しくなり、運動が減る傾向があります。 - 「少しの運動を毎日続ける」ことが鍵
たとえば通勤時の速歩や階段利用も立派な運動です。 - 心疾患後の運動は、医師やリハビリ専門職の指導が重要
無理せず、安全に身体を動かす方法を学びましょう。
当院でも、心疾患後のリハビリや生活習慣改善のサポートを行っていますので、ぜひご相談ください。
【まとめ】
この研究は、「心臓病はある日突然起こるのではなく、長い年月をかけて身体の変化が進んでいる」という事実を明らかにしました。
そして、**そのサインのひとつが「運動不足」**です。
運動習慣を意識して保つことは、心疾患の予防だけでなく、脳卒中や糖尿病、がんなどさまざまな病気のリスク低下にもつながります。
今からでも遅くありません。まずは、今日1回分の階段利用から始めてみませんか?
【引用情報】
- Gerber Y, et al. Trajectories of Physical Activity Before and After Cardiovascular Disease Events in CARDIA Participants. JAMA Cardiology. Published online July 23, 2025. doi:10.1001/jamacardio.2025.2282
- CDC. Physical Activity Guidelines and Recommendations. https://www.cdc.gov/physical-activity/php/guidelines-recommendations
