ブログ

脳卒中脳神経内科

甘い飲み物で脳が危険?砂糖・スクロースと認知症の最新エビデンス

【導入】
私たちの脳はブドウ糖を主なエネルギー源として働きます。しかし「とり過ぎの糖」は、からだ全体の代謝を乱します。近年は、砂糖の多い食生活が認知症の一因として注目されています。今回は最新の大規模研究と、今日からできる実践的な対策をわかりやすく解説します。

【① 砂糖と脳の関係|基礎とキーワード】
砂糖は単糖類と二糖類などに分けられる栄養素の総称です。ブドウ糖や果糖、スクロース(ショ糖)が代表で、「フリーシュガー」は食品に加えられた砂糖や蜂蜜、果汁に含まれる糖を指します。清涼飲料や加工食品にはこのフリーシュガーが多く含まれています。糖のとり過ぎは血糖の乱高下や脂質異常、慢性炎症を引き起こしやすく、結果として血管障害やインスリン抵抗性が進みます。これらは脳の可塑性低下やアミロイド処理の乱れを招き、認知症の発症リスクを高める要因になり得ます。大切なのは「脳に必要な燃料」と「過剰摂取」を切り分け、必要量を確保しながら余分な甘味を減らす発想です。

【② 最新エビデンス|UKバイオバンク研究】
英国の住民約17万人を対象にした前向き研究では、総糖摂取量が多い群で認知症発症リスクが高いことが示されました。総糖の最高摂取群は基準群より約1.29倍、フリーシュガーは約1.25倍リスクが上昇しました。非乳由来の遊離糖も約1.32倍、スクロースは約1.29倍と有意な関連が認められました。特に女性で関連が強く出ており、複数の糖でリスク上昇が明瞭に見られました。一方、男性では明確な差は乏しく、性差の可能性が示唆されています。ただし観察研究のため因果関係は断定できず、食事調査が自己申告である限界もあります。それでも「甘い飲料や加工食品の抑制」が合理的な対策と考えられます。

【③ 今日からできる実践|食べ方と買い方】
第一歩は「飲み物の糖」を見直すことです。清涼飲料やエナジードリンク、甘いカフェ系飲料は優先的に減らし、水・お茶・ブラックコーヒーへ置き換えましょう。次に「隠れ糖」に注意。シリアル、ヨーグルト、調味料、プロテインバーなど健康食品風でも加糖が多い場合があります。食品表示の「炭水化物―糖類」や原材料の順番を確認する習慣をつけましょう。間食にはホールフルーツ、素焼きナッツ、無糖ヨーグルトを選びます。果汁もフリーシュガーに含まれるため過剰摂取は避けるべきです。主食は精製度を下げて食物繊維を増やすと良く、白米より雑穀米、白パンより全粒粉、うどんより蕎麦がおすすめです。

さらに「甘味の回数・量・濃さ」を意識して減らしましょう。週に1〜2回「甘味ゼロデー」を設けると総摂取量が自然に減ります。外食ではソースを別添にしたり、ドレッシングを半量にしたり、デザートはシェアすると無理なく抑えられます。家庭では小皿や小スプーンを使って心理的満足度を高める工夫が効果的です。また睡眠不足は甘味欲求を強めるため、規則正しい生活も重要です。運動は血糖の安定化に直結し、速歩20分程度でも効果があります。週150分を目標にしましょう。完全に甘味を断つ必要はなく、「特別なときに少量」へ切り替えることが長続きの秘訣です。

【まとめ】
砂糖は生きる燃料ですが、過剰は脳と血管の負担となります。最新研究では総糖、とくにフリーシュガーやスクロースの多さが認知症リスクの上昇と関連する可能性が示されました。飲み物と加工品から見直し、食物繊維・良質なたんぱく質・運動を組み合わせることで、脳を守る日常が実現できます。

■引用・参考
Che Y, et al. Association of sugar intake with incident dementia in the UK Biobank: a prospective cohort study. J Prev Alzheimers Dis. 2025. DOI:10.1016/j.tjpad.2025.100311

■当院のご案内(那覇市・シーサー通り内科リハビリクリニック)
当院は一般内科・脳神経内科・リハビリを標榜し、生活習慣病や脳の健康を検査と実践支援でサポートします。栄養・運動指導、血圧・脂質・糖代謝の総合管理、脳ドック、認知機能評価、ニューロリハ(歩行・バランス・上肢機能)まで幅広く対応しています。まずはお気軽にご相談ください。