ブログ

脳卒中脳神経内科

目の検査は正常なのに見えにくい 後部皮質萎縮症(PCA)の症状・経過・家族の支え方

―――――――――――――――――――――

【後部皮質萎縮症(PCA)とは?症状と特徴】

後部皮質萎縮症(PCA)は,主に「見る力」が
ゆっくり低下していくタイプの認知症の一つです。

多くはアルツハイマー病の仲間で,記憶より先に
視覚や空間認知のトラブルが目立つことが特徴です。

具体的には,物の位置をよく間違える,本を読みにくい,
車の運転で距離感をつかみにくい,などから始まります。

「視力検査は問題ないのに,なぜか見えにくい」
そんな違和感がきっかけになることも少なくありません。

2025年に発表された大規模研究では,PCAの発症年齢は
平均61歳で,3人に2人は65歳未満とされています。

また患者さんの約3分の2が女性であり,比較的若い世代の
女性に多いという特徴も示されました。

病気が進むと,図形をまねて描けない「構成失行」や
計算が苦手になる「失算」が高い頻度で見られます。

さらに,同時に複数の物が見えにくい「同時失認」や,
距離感がおかしくなる「空間認知障害」も有名な症状です。

最初は視覚の問題が中心ですが,進行期になると,
記憶力や言葉,計画力なども少しずつ障害されていきます。

―――――――――――――――――――――

【見逃されやすい診断の落とし穴と注意点】

PCAの方の約半数は,神経内科にたどり着く前に,
眼科やメガネ店を受診していることが報告されています。

白内障手術やレーシックなどの眼科的治療を受けても,
見え方の不調が改善しないケースも多くあります。

また,約4人に1人は「うつ病」や「不安障害」などの
精神科診断を先につけられていたことも分かりました。

とくに若い女性では,「ストレスのせい」「心因性」など
心の問題として扱われてしまう傾向が強いようです。

もちろん,うつ病や不安障害が本当に合併している場合も
ありますが,「視覚+気分の落ち込み」は要注意サインです。

視力は正常なのに「見づらい」「距離感がおかしい」という
訴えがあれば,脳の病気を一度疑ってみる価値があります。

MRIや脳血流SPECTなどの画像検査では,後頭葉や頭頂葉と
呼ばれる,視覚情報を処理する領域の萎縮や低下が目立ちます。

髄液検査を行うと,多くの患者さんでアルツハイマー病型の
異常タンパク(Aβとタウ)のパターンが確認されています。

つまりPCAは,「目の病気」ではなく「脳の視覚の病気」で,
原因としてはアルツハイマー病が中心というイメージです。

最近は,アルツハイマー病に対する疾患修飾薬(進行を遅らせる
新しい治療薬)の開発が進んでおり,早期診断の重要性が増しています。

PCAもアルツハイマー病の一型である以上,なるべく早い段階で
専門医につながることが,治療の選択肢を広げることにつながります。

―――――――――――――――――――――

【経過・予後と日常生活でできる工夫】

研究によると,症状が出てから診断がつくまでの期間は
平均3〜4年と,かなり長いことが分かりました。

発症から亡くなるまでは,およそ9年前後が中央値とされ,
個人差はあるものの,ゆっくり進行する病気です。

簡易認知機能検査(STMS)で経過を追うと,最初の数年間は
急に点数が下がり,その後は低いまま緩やかになる曲線でした。

病気が進むにつれ,幻視(実際にはないものが見える症状)が
出てくる方も増え,後期には約2割が経験すると報告されています。

また,手足のこわばりやふるえなど,パーキンソン病に似た症状や,
言葉が出にくくなる失語症を合併する方もいます。

このように,PCAは経過とともに他の神経変性疾患の特徴を
「プラス」していく複雑な姿をとることが少なくありません。

一方で,早期から生活環境を整えることで,安心して暮らせる
時間を長く保てることが,臨床経験からも知られています。

例えば,部屋のコントラストをはっきりさせる,物の置き場所を
固定する,大きな文字や図を使う,危険な段差を減らすなどです。

運転は,早い段階から主治医と相談し,家族とも話し合いながら
安全第一で終了のタイミングを決めていくことが重要です。

本人は「そこまで見えにくくない」と感じていても,
周囲からは危うく見える,というギャップも起こりやすい病気です。

ご家族は「責める」のではなく,「一緒に工夫していこう」という
スタンスで,ゆっくり話し合いを重ねていくことが大切です。

視覚リハビリテーションや作業療法,言語療法などを組み合わせると,
できることを増やし,自信を取り戻す助けにもなります。

―――――――――――――――――――――

【シーサー通り内科リハビリクリニックからのご案内】

当院では,一般的な物忘れだけでなく,「見えにくいのに
眼科では異常がない」「運転や読書が急に苦手になった」など,

PCAを含む,少し珍しいタイプの認知症や神経の病気についても
神経内科専門医が丁寧に評価・説明を行っています。

CT,認知機能検査に加え,リハビリ専門職と
連携し,日常生活の工夫やご家族へのサポートも行っています。

那覇市近郊で,視覚や物忘れの症状に不安を感じておられる方は,
どうぞ一度「シーサー通り内科リハビリクリニック」へご相談ください。

―――――――――――――――――――――

※本記事はご指定いただいた条件(SEOタイトル・文体・文字数・
段落長・小見出し・用語説明・引用・当院紹介など)を反映して作成しています。

【参考文献】

1.Shir D, Lee N, McCarter SJ, et al. Longitudinal Evolution of Posterior
Cortical Atrophy: Diagnostic Delays, Overlapping Phenotypes, and Clinical
Outcomes. Neurology. 2025;104:e213559.
https://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000213559

2.Crutch SJ, Schott JM, Rabinovici GD, et al. Consensus classification of
posterior cortical atrophy. Alzheimers Dement. 2017;13(8):870-884.
https://doi.org/10.1016/j.jalz.2017.01.014