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循環器脳卒中脳神経内科

アスピリンは飲むべき?心筋梗塞・脳梗塞予防と出血リスクの最新情報

抗血小板薬は、血液中の「血小板」が固まり、血栓をつくる働きを抑える薬です。
アスピリンやクロピドグレルなどが代表で、脳梗塞や心筋梗塞の再発予防に使われます。

一方で、血栓を防ぐ力が強くなるほど、胃腸出血や脳出血などの危険も高まります。
2026年の米国心臓病学会の声明では、予防効果と出血リスクを個別に判断する重要性が改めて示されました。

【アスピリンによる心筋梗塞・脳梗塞の予防】

「健康のためにアスピリンを飲んだ方がよい」と考える方もいますが、
誰にでも勧められる薬ではありません。

心筋梗塞や脳梗塞を一度も起こしていない方への使用を「一次予防」と呼びます。
一次予防では、一般の方が自己判断で毎日服用することは勧められません。

アスピリンには心筋梗塞や脳梗塞を減らす効果が期待できる一方で、
消化管出血などの大きな出血を増やす可能性があるためです。

特に70歳を超える方では、予防効果より出血の不利益が上回りやすく、
定期的なアスピリン服用は原則として避ける方向が示されています。

ただし、40~70歳で動脈硬化の危険が非常に高く、出血しやすい要因が少ない方では、
医師と相談したうえで低用量アスピリンを検討する場合があります。

一方、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、一過性脳虚血発作を経験した方では、
再発予防として抗血小板薬が重要です。これを「二次予防」と呼びます。

大切なのは「飲むか、飲まないか」という単純な判断ではありません。
年齢、腎機能、貧血、過去の出血、血圧、転倒リスクなどを総合的に確認します。

【2種類の抗血小板薬を使う期間と最新治療】

アスピリンと別の抗血小板薬を組み合わせる治療を、
DAPT、つまり「抗血小板薬2剤併用療法」と呼びます。

心筋梗塞などの急性冠症候群でカテーテル治療を受けた場合、
標準的な2剤併用期間は12か月です。安定した冠動脈疾患では6か月が基本です。

ただし、最近はすべての患者さんに長期間2剤を続けるのではなく、
出血リスクが高い方では1~3か月で1剤に減らす方法も検討されます。

一方、血栓が再びできる危険が高い方では、安易な短縮はできません。
期間はステントの状態、発症時の重症度、糖尿病、腎機能などで変わります。

軽い脳梗塞や再発リスクの高い一過性脳虚血発作では、
発症後12~24時間以内に2種類の抗血小板薬を開始する場合があります。

代表的には、アスピリンとクロピドグレルを原則21日間併用した後、
1剤へ切り替える治療が早期の脳梗塞再発予防に有効です。

しかし、大きな脳梗塞や血栓を溶かす治療を受けた場合には、
同じ方法がそのまま使えるとは限りません。専門医の判断が必要です。

【抗血小板薬の出血・副作用・手術前の注意】

抗血小板薬で注意したい症状は、黒い便、血を吐く、止まりにくい鼻血、
急に増えたあざ、激しい頭痛、手足の麻痺、意識の変化などです。

これらがある場合は、消化管出血や脳出血の可能性があります。
特に突然の激しい頭痛や片側の麻痺がある場合は、救急車を呼んでください。

胃腸出血の危険が高い方では、胃酸を抑えるPPIという薬を併用します。
抗凝固薬も一緒に使う方では、薬の組み合わせの確認が特に重要です。

手術や歯科治療の前でも、抗血小板薬を自己判断で中止してはいけません。
中止するとステント内に血栓ができ、心筋梗塞につながることがあります。

一般にクロピドグレルとチカグレロルは手術の5日前、
プラスグレルは7日前の中止が目安ですが、手術内容や緊急度で異なります。

処方した医師、手術担当医、歯科医が連携して決めることが大切です。
「出血が怖いから半分にする」「飲み忘れたので2回分飲む」ことも避けましょう。

【よくある質問 Q&A】

Q.健康診断で動脈硬化を指摘されました。アスピリンを飲むべきですか?

A.動脈硬化があるだけで全員に必要とは限りません。
血圧、糖尿病、脂質、喫煙歴、腎機能、出血リスクを評価して判断します。

Q.抗血小板薬を飲むと脳出血が増えますか?

A.脳出血を含む出血リスクは上がります。
ただし、再発リスクが高い方では、脳梗塞や心筋梗塞を防ぐ効果が上回ることがあります。

Q.症状がなくなったので薬をやめてもよいですか?

A.自己中止は危険です。抗血小板薬は症状を抑える薬ではなく、
血栓による再発を防ぐ薬です。中止や変更は必ず主治医に相談してください。

【当院からのお知らせ】

那覇市のシーサー通り内科リハビリクリニックでは、
脳梗塞・一過性脳虚血発作・動脈硬化・高血圧・糖尿病を総合的に診療しています。

頭部CT、頸動脈エコー、心エコー、心電図などを活用し、
抗血小板薬の必要性と出血リスクを一人ひとり丁寧に確認します。

那覇市・浦添市・沖縄県で、アスピリンやクロピドグレルの継続、
脳梗塞後の再発予防、薬の副作用についてお困りの方はご相談ください。

参考文献

Kumbhani DJ, Gibson CM, Kinlay S, et al.
Antiplatelet Therapy in the Management of Atherosclerotic Cardiovascular Disease:
2026 ACC Scientific Statement. J Am Coll Cardiol. 2026.

https://doi.org/10.1016/j.jacc.2026.05.037