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帯状疱疹ワクチンで認知症リスクが低下?50万人を調べた最新研究を解説

帯状疱疹ワクチンが「認知症予防」にもつながる可能性が、近年注目されています。

2026年7月、医学誌『Annals of Internal Medicine』に、約51万人の高齢者を
対象とした大規模研究が発表されました。

その結果、組換え帯状疱疹ワクチンを接種した人では、接種しなかった人と比べ、
その後4年間に認知症と診断されるリスクが低いことが示されました。

「帯状疱疹を防ぐワクチンが、なぜ認知症と関係するのでしょうか?」

今回は、この注目すべき研究について、結果だけでなく研究の限界も含めて、
一般の方にもわかりやすく解説します。

【帯状疱疹ワクチンと認知症|約51万人を調査】

研究の対象となったのは、米国の介護・療養施設に入所した66歳以上の高齢者
50万9,926人です。平均年齢は79歳でした。

研究開始時点では認知症と診断されていない人を対象とし、施設入所後12か月以内に
組換え帯状疱疹ワクチンを接種したかどうかで、その後を比較しました。

組換え帯状疱疹ワクチンとは、現在広く使用されている「シングリックス」などに
用いられているタイプのワクチンです。

対象者のうち8,843人が、施設への入所から12か月以内に少なくとも1回の
帯状疱疹ワクチン接種を受けていました。

研究では最大4年間追跡し、新たに認知症と診断された人の割合を比較しています。

その結果、4年間の認知症リスクは、ワクチンを接種しなかった人では24.6%、
接種した人では18.8%でした。

つまり、認知症になる絶対的なリスクが5.8ポイント低かったことになります。

さらに相対的なリスクを比較すると、リスク比は0.76でした。

これは簡単にいえば、接種した人では認知症と診断されるリスクが、
接種しなかった人より約24%低かったことを意味します。

非常に興味深い結果ですが、「シングリックスを打てば認知症を24%予防できる」
と単純に解釈することはできません。

【なぜ帯状疱疹ワクチンが認知症と関係するのか】

帯状疱疹は、水ぼうそうの原因となる「水痘・帯状疱疹ウイルス」が、
体内で再び活性化することによって起こります。

このウイルスは水ぼうそうが治った後も神経の中に潜んでおり、加齢や疲労、
免疫力の低下などをきっかけとして再活性化します。

そのため帯状疱疹では、皮膚の発疹だけでなく強い神経痛が生じ、
帯状疱疹後神経痛として痛みが長期間残ることもあります。

一方、近年ではウイルス感染や慢性的な炎症と、アルツハイマー病などの
認知症との関連について研究が進められています。

帯状疱疹ワクチンによってウイルスの再活性化や、それに伴う炎症を抑えることが、
脳にも何らかの良い影響を与える可能性が考えられています。

また、ワクチン接種によって免疫システムが刺激されること自体が、
神経変性に影響する可能性についても研究されています。

実際、2026年には今回の研究以外にも、組換え帯状疱疹ワクチンを接種した高齢者で
認知症発症率が低かったとする複数の研究が報告されています。

つまり、「帯状疱疹ワクチンと認知症リスク低下」という関連は、
一つの研究だけで偶然見つかった結果ではなくなりつつあります。

今後、認知症予防という新しい観点からも帯状疱疹ワクチンが注目される可能性が
あります。

【認知症予防になる?研究結果を見るときの注意点】

今回の研究で最も注意したいのは、ワクチンによる認知症予防効果を直接証明した
臨床試験ではないという点です。

研究では「ターゲット試験エミュレーション」という高度な統計手法を使っています。

これは実際の診療データを利用しながら、できるだけランダム化比較試験に近い形で
治療やワクチンの効果を評価しようとする研究方法です。

年齢や病気など多数の条件を統計的に調整していますが、それでも接種する人と
接種しない人の間に、見えない違いが残っている可能性があります。

たとえば健康意識が高く、普段から医療機関を受診している人ほど、
ワクチンを積極的に接種する傾向があるかもしれません。

研究者自身も、こうした「残余交絡」と呼ばれる影響を完全には否定できないと
述べています。

また、この研究は米国の介護・療養施設を利用した高齢者が中心です。

そのため、より若い人や健康状態の良い高齢者、日本人にもまったく同じ数字が
当てはまるとは限りません。

さらに今回の研究は製薬企業GlaxoSmithKline(GSK)の資金提供を受けています。
研究結果を評価する際には、この点も含めて確認することが重要です。

したがって現時点では、帯状疱疹ワクチンを「認知症予防ワクチン」として
接種する段階ではありません。

ただし、帯状疱疹そのものを予防するという本来の目的に加えて、
認知症リスク低下の可能性まで示されてきたことは非常に興味深い結果です。

【よくある質問 Q&A】

Q.シングリックスを接種すると認知症にならなくなりますか?

A.現時点では、認知症を予防できると断定することはできません。
今回の研究では「接種した人で認知症リスクが低かった」という関連が示されています。

Q.認知症予防を目的に帯状疱疹ワクチンを受けるべきですか?

A.認知症予防だけを目的に接種することを推奨できる段階ではありません。
まずは帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛を予防するワクチンとして考えることが基本です。

Q.帯状疱疹ワクチンを1回受ければよいのでしょうか?

A.今回の研究は「少なくとも1回接種した人」を解析していますが、
実際のワクチン接種は定められた接種方法に従うことが重要です。

Q.認知症予防で最も大切なことは何ですか?

A.高血圧、糖尿病、脂質異常症、運動不足、喫煙、難聴など、
修正できる認知症リスクを一つずつ減らしていくことが大切です。

【シーサー通り内科リハビリクリニックより】

シーサー通り内科リハビリクリニックでは、帯状疱疹ワクチンのご相談に加えて、
認知症、物忘れ、生活習慣病についても総合的に診療しています。

認知症予防では「これさえすれば大丈夫」という一つの方法ではなく、
血圧・血糖・コレステロール・運動・睡眠などを幅広く管理することが重要です。

那覇市・浦添市をはじめ沖縄県内で、帯状疱疹ワクチンや物忘れ、
認知症について気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

新しい医学研究を取り入れながら、内科・脳神経内科・リハビリテーションの
視点から、一人ひとりに合わせた健康づくりをサポートしています。

【参考文献】

Hayes KN, Harris DA, McConeghy KW, et al.
Dementia Risk After Recombinant Herpes Zoster Vaccination in Older Adults
With a Recent Skilled-Nursing Facility Stay: A Target Trial Emulation.
Ann Intern Med. 2026;179(7):958-967.
doi:10.7326/ANNALS-25-04689.
PMID:42296498.