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心筋梗塞の約9割は予防できる?血圧・LDLコレステロール・食事の重要性
心筋梗塞をはじめとする虚血性心疾患は、突然発症する病気という印象が
あります。しかし、その背景には長年にわたる高血圧、脂質異常症、
糖尿病、喫煙など、改善できる危険因子が積み重なっています。
2026年7月にJAMA Cardiologyで発表された研究では、米国における
1990~2023年の虚血性心疾患死亡と、12種類の修正可能な危険因子との
関係が、世界疾病負担研究2023のデータを用いて解析されました。
その結果、2023年に米国で発生した虚血性心疾患死亡の約88.7%が、
血圧、食事、LDLコレステロールなど、修正可能な危険因子に関連すると
推定されました。心臓病予防の基本を改めて示す重要な結果です。
【虚血性心疾患の約9割に修正可能な危険因子】
虚血性心疾患とは、心臓を養う冠動脈が動脈硬化などで狭くなり、
心臓の筋肉へ十分な血液が届かなくなる病気の総称です。
冠動脈が一時的に狭くなって胸痛を起こすものが狭心症で、血管が詰まり、
心臓の筋肉が壊死するものが心筋梗塞です。心筋梗塞では、突然死に
至ることもあります。
今回の研究によると、2023年には米国で約47万3000人が虚血性心疾患に
より死亡したと推定されました。一方、年齢構成の変化を調整した死亡率は、
1990年と比べて約58.7%低下していました。
医療技術の進歩、禁煙対策、血圧やコレステロールの治療が死亡率低下に
貢献した可能性があります。ただし、虚血性心疾患は現在も米国における
主要な死亡原因であり、予防の余地が大きく残されています。
研究で最も重要な結果は、虚血性心疾患による死亡の88.7%が、
修正可能な危険因子に関連していたことです。
「修正可能」とは、治療や生活習慣の改善によって危険性を下げられる
可能性があるという意味です。ただし、すべての死亡を完全に防げると
保証する数字ではありません。
【高血圧・食事・LDLコレステロールが三大要因】
最も大きな危険因子は、高い収縮期血圧でした。収縮期血圧とは、
血圧を測定したときの上の数字で、心臓が収縮して血液を送り出す際の
血管内の圧力を示します。
研究では、2023年の虚血性心疾患死亡の47.2%が、高い収縮期血圧に
関連すると推定されました。高血圧は自覚症状が乏しいまま血管を傷つけ、
心筋梗塞、脳卒中、心不全の原因になります。
第2位は食事に関係する危険因子で、38.6%を占めました。具体的には、
塩分の多い食事、野菜や果物、全粒穀物などの不足を含む、複数の
食生活上の問題がまとめて評価されています。
第3位は高LDLコレステロールで、28.5%でした。LDLコレステロールは、
増え過ぎると血管の壁に入り込み、動脈硬化を進めるため、一般に
「悪玉コレステロール」と呼ばれています。
これらの割合には重なりがあります。高血圧、食事、LDLコレステロールを
単純に足して100%を超えるからといって、研究結果が矛盾しているわけでは
ありません。一人の患者さんが複数の危険因子を持つためです。
特に、若い頃からLDLコレステロールが非常に高い方では、遺伝性の
家族性高コレステロール血症が隠れている場合があります。家族に若年の
心筋梗塞が多い方は、早めの評価が重要です。
【肥満・高血糖の増加と心筋梗塞予防】
死亡率全体は低下した一方で、注意すべき変化もありました。1990年以降、
高BMIに関連する虚血性心疾患死亡の負担は54.5%増加していました。
BMIは身長と体重から計算する体格の指標です。BMIが高いことは、必ずしも
全員に同じ危険性を意味しませんが、内臓脂肪の蓄積、高血圧、糖尿病、
脂質異常症と関係します。
また、高い空腹時血糖に関連する負担も38.8%増加しました。糖尿病では
血管の内側が傷つきやすくなり、冠動脈の動脈硬化が進行します。
反対に、喫煙に関連する虚血性心疾患死亡は1990年から33.3%減少し、
粒子状物質による大気汚染に関連する死亡も74.9%減少しました。
禁煙や環境対策によって、集団全体の心臓病リスクを減らせる可能性を
示す結果といえます。
日常生活では、家庭血圧を測る、健診で血糖とLDLコレステロールを確認する、
禁煙する、塩分を減らす、野菜・魚・豆類を取り入れることが基本です。
すでに高血圧、糖尿病、脂質異常症がある場合は、生活習慣だけでなく、
必要な薬を継続することも大切です。数値が改善しても、自己判断で薬を
中止すると再び危険性が高まる可能性があります。
【よくある質問・Q&A】
Q.心筋梗塞の約9割は完全に予防できるのですか?
A.完全に防げるという意味ではありません。88.7%は、統計学的に
修正可能な危険因子と関連していた死亡の割合を示す推定値です。
Q.血圧、血糖、LDLのうち、どれを優先すべきですか?
A.すべて重要ですが、今回の研究では高血圧の寄与が最も大きい結果でした。
一つだけでなく、複数の危険因子を同時に管理することが効果的です。
Q.LDLコレステロールは基準値内なら安心ですか?
A.目標値は心筋梗塞や脳卒中の既往、糖尿病、年齢などで異なります。
検査結果の正常範囲と、ご自身に適した治療目標は同じとは限りません。
Q.胸痛がある場合は、次の受診日まで待ってよいですか?
A.胸の圧迫感、冷や汗、息苦しさ、左腕や顎へ広がる痛みが続く場合は、
心筋梗塞の可能性があるため、すぐに救急要請をご検討ください。
【那覇市・浦添市・沖縄県で動脈硬化が心配な方へ】
シーサー通り内科リハビリクリニックでは、内科・動脈硬化診療の
専門的な視点から、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満を総合的に
評価しています。
血液検査、心電図、頸動脈エコー、心エコー、胸部画像検査などを
組み合わせ、心筋梗塞や脳卒中につながる危険因子の早期発見と
適切な治療を行います。
LDLコレステロールが高い方には、家族性高コレステロール血症の可能性も
含めて評価し、生活指導から薬物治療まで一人ひとりに合った方針を
ご提案します。
那覇市・浦添市をはじめ沖縄県内で、健診異常、高血圧、糖尿病、
コレステロール、内臓脂肪が気になる方は、シーサー通り内科
リハビリクリニックへお気軽にご相談ください。
【引用情報】
Benziger CP, Stark BA, Johnson CO, Roth GA, et al.
Modifiable Risk Factors and Attributable Ischemic Heart Disease Mortality
in US States, 1990-2023: A Systematic Analysis for the Global Burden of
Disease Study 2023. JAMA Cardiology. Published online July 15, 2026.
doi:10.1001/jamacardio.2026.2435.
