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熱中症はなぜ起こる?脱水・高温多湿・運動のリスクと受診すべき症状を沖縄県那覇市の内科専門医が解説
熱中症の症状と予防法|「水分を飲めば大丈夫」ではない?医師が解説する正しい対策
夏になると、「水分をしっかり飲んでいるから熱中症は大丈夫」と
考える方も多いのではないでしょうか。しかし、それだけでは十分とは限りません。
熱中症は気温だけで決まる病気ではありません。湿度、日差し、風、運動量、
服装、体調、水分状態など、いくつもの条件が重なって発症します。
特に沖縄のように暑さと湿度が高い地域では、屋外での仕事やスポーツだけでなく、
日常生活のなかでも体に熱がたまらない工夫が大切です。
米国陸軍の熱中症対策資料でも、気温、湿度、風、日射、運動強度、服装、
体調や水分状態を組み合わせて熱中症リスクを考える必要性が示されています。
【熱中症の原因|高温・多湿だけでなく「体が作る熱」に注意】
人間の体は、運動すると筋肉から大量の熱を作ります。体は皮膚の血流を増やし、
汗を蒸発させることによって、その熱を外へ逃がそうとします。
ところが高温多湿では汗が蒸発しにくくなります。汗をかいているにもかかわらず、
十分に体温を下げられないことがあるため注意が必要です。
特に運動や肉体労働では、外から受ける暑さに加えて、筋肉が作る熱が加わります。
そのため、それほど猛暑でない日でも激しい運動では熱中症が起こり得ます。
また、脱水になると体温が上がりやすくなり、心臓や血管への負担も増えます。
暑い環境では運動能力そのものも低下することが報告されています。
熱中症のリスクには、暑さへの慣れ、体力、水分・栄養状態、感染症、飲酒、
服用している薬なども関係します。前日の体調まで含めて考えることが大切です。
【熱中症の症状|めまい・頭痛から意識障害まで見逃さない】
熱疲労では、強い疲労感、ふらつき、めまい、頭痛、吐き気、嘔吐、動悸、
呼吸が速くなるなど、さまざまな症状がみられます。
言葉がうまく出ない、歩くとふらつく、転びそうになるといった症状もあります。
この段階では、運動を中止し、暑い環境から離れて早く体を冷やすことが重要です。
さらに危険なのが、重症の労作性熱射病です。普段と違う言動、強い混乱、
興奮、けいれん、意識低下など「脳の異常」が重要な危険サインになります。
重症度を体温の数字だけで判断してはいけません。資料でも、重症例では
特定の体温だけに頼らず、中枢神経症状を重視すべきことが示されています。
「受け答えがおかしい」「まっすぐ歩けない」「意識がもうろうとしている」
などがあれば、単なる夏バテとは考えず、速やかな救急対応が必要です。
【熱中症の予防と応急処置|休息・冷却・水分補給の3本柱】
熱中症予防の基本は、「無理をしないこと」です。暑い日の運動や作業では、
休憩を入れ、日陰や涼しい場所を利用し、体に熱をためないことが重要です。
暑さに体を慣らす「暑熱順化」も有効です。急に長時間運動するのではなく、
数日から1〜2週間かけて少しずつ暑い環境への運動量を増やしていきます。
資料では、暑熱順化によって心拍数や体への負担が軽減し、熱への耐性や
運動能力が改善するとされています。十分な順化には約10日が目安です。
水分補給も大切ですが、「多ければ多いほどよい」というわけではありません。
大量の水だけを長時間飲み続けると、血液中のナトリウムが薄まることがあります。
これは「低ナトリウム血症」と呼ばれ、頭痛、吐き気、混乱、けいれんなどを
起こし、重症になると命にかかわることもあります。
長時間にわたり大量の汗をかく場合には、水だけでなく食事や電解質を含む飲料も
利用しながら、「失った分を適切に補う」という考え方が重要です。
もし熱中症が疑われたら、まず運動や作業を中止して涼しい場所へ移動させます。
衣服を緩め、可能な範囲で速やかに体を冷却してください。
特に意識障害やけいれんがある場合は、自分で水を飲ませることにこだわらず、
救急要請を優先します。重症熱中症では、早期の積極的な冷却が極めて重要です。
暑い季節に大切なのは、「喉が渇いたら水を飲む」だけではありません。
その日の体調、運動量、湿度、日差し、休息まで含めて予防することが大切です。
そして、いつもと違うふらつきや言動、強い頭痛、繰り返す嘔吐、意識障害を
認めた場合には、熱中症を疑って早めに医療機関へ相談しましょう。
Q&A 熱中症についてよくある質問
Q.汗をたくさんかいていれば、熱中症ではありませんか?
A.いいえ。熱疲労では大量の発汗が続くことがあります。汗の有無だけではなく、
めまい、ふらつき、頭痛、吐き気、意識状態などを合わせて判断します。
Q.熱中症予防には水をたくさん飲んだ方がよいですか?
A.適切な補給は必要ですが、極端な過剰摂取は逆に危険です。長時間の運動では、
水分だけでなく食事や電解質の補給も意識することが大切です。
Q.どのような症状なら救急車を呼んだ方がよいですか?
A.意識がおかしい、会話が成立しない、けいれん、意識低下などがある場合は、
重症熱中症の可能性があります。速やかに救急要請してください。
シーサー通り内科リハビリクリニックからのお知らせ
那覇市のシーサー通り内科リハビリクリニックでは、内科・脳神経内科・
リハビリテーション科の視点から、体調不良やめまい、頭痛などの診療を行っています。
「暑さのせいだろう」と思っている症状のなかには、熱中症以外の病気が
隠れていることもあります。症状が続く場合や判断に迷う場合はご相談ください。
引用・参考情報
U.S. Department of the Army. TB MED 507: Heat Stress Control and Heat Casualty Management.
12 April 2022. 添付資料では、熱ストレスの生理、暑熱順化、水分・電解質管理、
労作性熱中症の症状・診断・治療まで体系的にまとめられています。
