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脳の健康を守る生活習慣とは|運動・食事・交流を組み合わせる認知症対策を沖縄県那覇市の認知症専門医が解説
認知症を予防するために、運動や食事、脳トレが大切だと聞いたことが
ある方は多いでしょう。しかし、それらを組み合わせることで、実際に
脳の変化を抑えられるのかは、まだ十分に分かっていませんでした。
2026年7月にJAMA Network Openで発表された研究では、認知機能が
低下するリスクを持つ60~79歳の959人を対象に、2年間にわたって
生活習慣への集中的な介入と脳MRIの変化が調べられました。
その結果、特に70歳未満の参加者では、運動や食事、認知トレーニング
などを組み合わせた取り組みにより、脳の白質に生じる初期変化が
抑えられる可能性が示されました。
【認知症予防と脳の白質―生活習慣が注目される理由】
脳の「白質」とは、脳の各部分をつなぎ、情報を伝える神経線維が
集まった場所です。道路に例えると、脳内の地域を結ぶ幹線道路の
ような役割を担っています。
加齢、高血圧、糖尿病、喫煙などの影響で、脳の細い血管が傷むと、
白質の状態も少しずつ悪化します。MRIで白く見える「白質病変」は、
脳小血管病の代表的な所見です。
白質病変が増えると、歩行速度の低下、転倒、物忘れ、判断力低下、
脳卒中などのリスクと関係することがあります。そのため、症状が
出る前から血管と脳の両方を守ることが重要です。
今回の研究では、通常のMRIで分かる白質病変だけでなく、拡散MRI
という方法を使い、白質のごく小さな変化も詳しく調べています。
特に注目されたのが「フリーウォーター」という指標です。これは、
白質の細胞と細胞の間に存在する水分の状態を反映し、目に見える
白質病変より早い段階の変化を捉える可能性があります。
フリーウォーターの増加は、血液脳関門の機能低下、炎症、組織の
変性など、複数の変化を反映すると考えられています。ただし、現在は
一般診療で単独診断に使う検査ではありません。
【運動・食事・脳トレを組み合わせた生活習慣改善】
研究参加者は、計画的に生活習慣を改善するグループと、健康情報を
受け取り自分で取り組むグループに分けられました。研究期間は
2年間で、開始時、12カ月後、24カ月後にMRIが行われています。
計画的な介入には、有酸素運動、筋力運動、柔軟運動、個別の食事指導、
認知トレーニング、人との交流、目標達成を支援する健康指導が
含まれていました。
食事は、地中海食とDASH食を組み合わせた考え方が基本です。野菜、
果物、魚、豆類、全粒穀物などを取り入れ、塩分や飽和脂肪酸を
摂り過ぎないことを重視します。
結果として、70歳未満では、計画的な生活習慣改善を行ったグループで、
フリーウォーターの増加が比較的緩やかでした。一方、70歳以上では、
2つのグループに明確な差は認められませんでした。
これは「70歳を過ぎると生活習慣改善が無意味」という意味では
ありません。年齢によって効果が突然切り替わるのではなく、脳血管の
変化が進む前ほど効果を得やすい可能性を示した結果です。
また、通常の白質病変の体積、脳微小出血、そのほかのMRI指標には、
2年間で明確なグループ差が確認されませんでした。すでに生じた変化が
改善したと証明された研究ではない点にも注意が必要です。
【70歳前から始めたい脳卒中・認知症予防のポイント】
今回の研究が伝えている大切な点は、特別な一つの健康法ではなく、
運動、食事、知的活動、社会参加、血管リスク管理を組み合わせる
ことです。
運動は、速歩などの有酸素運動に加え、スクワットやかかと上げなどの
筋力運動も取り入れましょう。体力に不安がある方は、転倒や心臓への
負担を避けるため、無理のない内容から始めることが大切です。
食事では、野菜、魚、大豆製品、海藻、果物をバランスよく摂り、
塩分、加工食品、甘い飲み物の摂り過ぎを控えます。沖縄県では
高血圧や糖尿病の管理も、脳の健康を守る重要な課題です。
読書、計算、楽器、趣味、家族や友人との会話なども役立ちます。
ただし、脳トレだけを行えば認知症を防げるわけではありません。
身体活動や社会参加と一緒に続けることがポイントです。
さらに、血圧、血糖値、LDLコレステロール、睡眠、喫煙、心房細動
などを確認しましょう。生活習慣だけに頼らず、必要な場合には薬物療法を
適切に受けることも、脳卒中・認知症予防の一部です。
研究では、開始時のフリーウォーターが高い人ほど、その後の白質病変や
脳微小出血が生じやすい傾向も認められました。早期の微細な変化が、
将来の脳血管障害を予測する可能性があります。
【よくある質問・Q&A】
Q.生活習慣を改善すれば認知症になりませんか?
A.認知症を完全に防げるとは言えません。ただし、高血圧、糖尿病、
運動不足などを改善することは、発症リスクを下げる可能性があります。
Q.70歳を過ぎてから始めても遅いのでしょうか?
A.遅くありません。今回のMRI上の差は70歳未満で目立ちましたが、
運動や血圧管理は、何歳から始めても体力や脳卒中予防に重要です。
Q.運動はどのくらい行えばよいですか?
A.一般には、軽く息が弾む運動を週に合計150分程度行うことが
一つの目安です。持病や関節痛がある方は、医師にご相談ください。
Q.物忘れがあれば、すぐMRIを受けるべきですか?
A.必要な検査は症状によって異なります。問診、認知機能検査、
血液検査を行い、医師が必要と判断した場合にCTやMRIを検討します。
【那覇市・浦添市・沖縄県で物忘れや脳卒中予防をご希望の方へ】
シーサー通り内科リハビリクリニックでは、内科・脳神経内科・
リハビリテーションの専門的な視点から、物忘れ、歩行障害、頭痛、
高血圧、糖尿病、脂質異常症などを総合的に診療しています。
脳CT、頸動脈エコー、心エコー、認知機能検査などを組み合わせ、
脳卒中や認知症につながる危険因子を確認します。理学療法士、
作業療法士、言語聴覚士によるリハビリにも対応しています。
那覇市・浦添市をはじめ沖縄県内で、物忘れが心配な方、生活習慣病を
見直したい方、脳卒中後のリハビリをご希望の方は、お気軽に
シーサー通り内科リハビリクリニックへご相談ください。
【引用情報】
Maillard P, Vemuri P, Harvey DJ, et al.
Age, Multidomain Lifestyle Intervention, and White Matter Integrity:
Secondary Analysis of the POINTER Randomized Clinical Trial.
JAMA Network Open. 2026;9(7):e2620353. Published July 13, 2026.
https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2026.20353
