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認知症は約半数が早期診断されていない?最新研究から考える「もの忘れ」の受診タイミング
「もの忘れ=認知症」とは限りません。一方で、認知症が始まっていても、
医療機関で診断されないまま経過する人が少なくないことが知られています。
2026年に医学誌「Neurology」へ報告された研究では、認知症の発症が
確認された高齢者500人を対象に、適切な時期に診断されていたかを調べました。
研究では、研究上の認知症発症の3年前から1年後までに、医療記録上で
認知症の診断が確認された場合を「タイムリーな診断」と定義しています。
驚くべきことに、この条件を満たしたのは54%でした。つまり研究上は
認知症を発症していた人の約半数が、適切な時期に診断されていなかったのです。
【認知症の早期診断―約半数がタイムリーに診断されていなかった】
今回の研究の特徴は、亡くなった後の脳を詳しく調べる「病理解剖」の結果と、
生前の医療記録を結び付けて解析した点にあります。
対象者の認知症発症時の平均年齢は88歳で、71%が女性でした。
アルツハイマー病、LATE、血管病変、レビー小体などが評価されています。
その結果、アルツハイマー病の病理変化があった人は、そうでない人より
タイムリーに診断される可能性が約1.9倍高いことが分かりました。
また、LATEと呼ばれる高齢者に多い脳の変化が中等度以上ある人でも、
タイムリーに診断される可能性は約1.8倍高くなっていました。
LATEとは「TDP-43」というたんぱく質が脳にたまり、記憶力低下などを
起こす病気です。アルツハイマー病と重なって存在することもあります。
一方、脳梗塞などに関連する血管性病変や大脳皮質のレビー小体については、
今回の研究では早い診断との明確な関連は認められませんでした。
【アルツハイマー病だけではない―認知症は複数の病気が重なる】
高齢者の認知症では、一つの病気だけが原因とは限りません。
アルツハイマー病、血管障害、レビー小体、LATEなどが重なることがあります。
今回の研究では、3~4種類の病理変化を持っていた人は、0~1種類の人より
タイムリーに診断される可能性が2倍以上高くなっていました。
これは病気がいくつも重なるほど症状が目立ち、家族や医療者が
認知機能の変化に気づきやすくなる可能性を示していると考えられます。
逆に考えると、症状がまだ軽い時期や典型的ではない認知症では、
日常生活が一見保たれているため診断が遅れる可能性があります。
「年齢のせいだろう」「まだ一人で生活できているから大丈夫」と考え、
受診を先延ばしにしてしまうことも、診断が遅れる一因になり得ます。
ただし今回の研究は、主に白人で教育歴の高い高齢者を対象としており、
日本人にも同じ結果がそのまま当てはまるとは限らない点には注意が必要です。
【もの忘れ外来と早期受診―治療と生活設計の選択肢を広げる】
認知症を早く診断する意味は、単に「認知症」という病名を付けることでは
ありません。まず症状の原因を調べ、治療できる病気を見逃さないことが重要です。
もの忘れは、睡眠障害、うつ状態、薬の副作用、甲状腺機能の異常、
ビタミン不足などでも起こり、認知症以外の原因が隠れている場合があります。
診察では、ご本人やご家族からのお話、認知機能検査、血液検査、
CTやMRIなどの脳画像を組み合わせて、原因を総合的に判断します。
現在は、早期アルツハイマー病に対して病気の進行を遅らせることを目指す
治療薬も登場しており、治療選択肢を考えるうえでも早めの評価が重要です。
早期診断には、運転、仕事、介護、財産管理、これからの暮らし方などを、
ご本人の意思を大切にしながら家族と相談する時間を持てる利点もあります。
「同じ話を何度もする」「薬の管理が難しくなった」「支払いを忘れる」
「慣れた場所で道に迷う」といった変化が続く場合は、一度相談してみましょう。
よくある質問 Q&A
Q1.もの忘れがあれば、すぐ認知症ですか?
いいえ。加齢によるもの忘れのほか、睡眠不足、ストレス、薬剤などでも
記憶力は低下します。生活への影響が出ているかを含めた評価が大切です。
Q2.本人に自覚がなくても受診した方がよいですか?
ご家族が「以前とは違う」と感じる場合は、相談する価値があります。
ご本人が認知機能の変化を十分に自覚していないケースも珍しくありません。
Q3.認知症は早く見つけても治らないのでは?
原因によって対応は異なります。治療可能な病気を除外したり、進行を
遅らせる治療を検討したり、生活支援や将来設計につなげたりできます。
シーサー通り内科リハビリクリニックの認知症・もの忘れ診療
当院では、もの忘れや認知症について、脳神経内科・認知症診療の視点から
評価を行っています。認知機能検査、血液検査、頭部CTなどを組み合わせます。
必要に応じて専門医療機関とも連携し、アルツハイマー病だけではなく、
脳血管障害などを含めたさまざまな原因を考えながら診療を進めていきます。
「まだ病院へ行くほどではないかも」と迷う段階でも構いません。
ご本人だけでなく、ご家族から見た変化も診断の大切な手がかりになります。
那覇市周辺で「最近もの忘れが増えた」「認知症かどうか一度調べたい」など、
気になる症状がありましたら、シーサー通り内科リハビリクリニックへご相談ください。
引用・参考文献
Chen Y, et al. Associations of Alzheimer Disease and Related Dementia
Neuropathologies With Timely Diagnosis of Dementia in Healthcare Settings.
Neurology. 2026;107(3). doi:10.1212/WNL.0000000000218352.
Alzheimer’s Association. Why Get Checked?
早期診断は、治療の選択、今後の生活設計、家族との相談などにつながる
可能性があることが解説されています
