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腸活で心血管疾患リスクを下げる方法|最新研究が示す腸内細菌の力
腸内細菌と心臓病の深い関係
近年、腸内細菌が私たちの健康に大きな影響を与えることが注目されています。
特に、心臓病や動脈硬化などの心血管疾患との関わりが明らかになってきました。
米国で長年続く「フラミンガム心臓研究」では、1,400人以上の便を調べて腸内細菌と代謝物の詳しい分析が行われました。
この研究から、特定の腸内細菌がコレステロール値に深く関わっていることが分かっています。
心血管疾患は日本でも死亡原因の上位に挙げられる病気です。
血液中のコレステロールが増えると、動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。
今回注目されたのは、「Oscillibacter(オシリバクター)」という腸内細菌の仲間です。
この細菌が多い人では、便や血液のコレステロールが少ない傾向が確認されました。
腸内細菌がどのようにしてコレステロールを減らすのか。
その仕組みの一部が研究で解明されつつあります。
Oscillibacterがコレステロールを代謝する仕組み
研究チームは、Oscillibacterの遺伝子や代謝物を詳しく調べました。
すると、この細菌には「コレステロールを分解する酵素」を持っていることがわかりました。
たとえば、「IsmA」と呼ばれる酵素はコレステロールを「コプロスタノール」という物質に変えます。
このコプロスタノールは体に吸収されにくく、便として排泄されやすい特徴があります。
また、Oscillibacterはコレステロールを「コレステノン」や「グリコシル化コレステロール」という別の物質に変える力も持っています。
これらの物質も体内で利用されにくいため、結果的に血液中のコレステロールが減ると考えられています。
このように、腸内のOscillibacterが活発に働くことで、コレステロールの一部が体に戻らずに排泄される仕組みが明らかになりました。
興味深いのは、この細菌が多い人ほど腸内の多様性が高く、炎症を引き起こす脂質が少ない傾向が見られた点です。
腸内細菌のバランスは、脂質代謝や炎症にも影響を与える可能性が高いと考えられています。
腸内環境を整えるためにできること
ここまで、Oscillibacterが心血管疾患に関わる可能性をお伝えしました。
では、日常生活で腸内環境を整えるにはどうすればよいのでしょうか。
まず大切なのは、食物繊維を多く含む食事です。
野菜、豆類、全粒穀物などを意識的に摂ることで、腸内細菌の多様性が高まります。
さらに、発酵食品も腸活に有効です。
ヨーグルト、納豆、味噌などを日常的に取り入れると、腸内の善玉菌を増やす助けになります。
一方で、過剰な肉類や脂肪の摂取、アルコールの飲み過ぎは腸内環境を乱す要因です。
特に高脂肪食は炎症を引き起こす細菌を増やすことが知られています。
今回の研究では、腸内細菌によるコレステロール代謝が人の健康に貢献する可能性が示されました。
しかし、Oscillibacter自体を直接補う食品やサプリメントはまだ開発されていません。
今後は、この細菌を活用した新しい治療や予防法の研究が期待されます。
まとめ
腸内環境は私たちの健康を大きく左右します。
今回紹介した研究では、Oscillibacterという腸内細菌がコレステロールを減らし、心血管疾患のリスクを下げる可能性が示されました。
腸活はすぐに結果が出るものではありませんが、毎日の積み重ねが将来の病気予防につながります。
まずは食生活を見直し、腸内細菌の多様性を意識した生活を心がけてみてください。
引用情報
Li C, et al. Gut microbiome and metabolome profiling in Framingham heart study reveals cholesterol-metabolizing bacteria. Cell. 2024;187:1834–1852. doi:10.1016/j.cell.2024.03.014
