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「30代でも脳梗塞?片頭痛・PFO・生活習慣病が複雑に絡む理由」
【若年者の脳梗塞に潜む“隠れたリスク”とは? 〜心臓の小さな穴と片頭痛の意外な関係〜】
【はじめに】
「若くして脳梗塞なんて、まさか…」そう思っていませんか?
実は、近年20〜40代でも脳梗塞を発症する人が増えています。その多くは原因が特定できない「原因不明の脳梗塞(CIS)」ですが、最近の研究で“隠れた心臓の穴”や“片頭痛”が深く関係していることがわかってきました。
今回は、2025年6月に発表された最新の国際共同研究をもとに、若年脳梗塞のリスク因子について3つの観点から解説します。
【1】「心臓の穴」PFOとは? 〜若年脳梗塞の見逃せない要因〜
心臓には生まれつき小さな“穴”が空いていることがあり、これを**PFO(卵円孔開存)**といいます。通常は自然に閉じますが、成人でも2〜3割に残るとされます。
特に「高リスクPFO」(心房中隔瘤や大量シャントなど)を持つ人は、静脈にできた血栓が脳に流れ込みやすくなり、若くして脳梗塞を起こすリスクが高くなります。
この研究では、196人の若年脳梗塞患者が高リスクPFOを持っており、PFOがある人では「非伝統的リスク因子」の影響が特に大きいことが示されました。
【2】伝統的vs非伝統的リスク因子とは? 〜喫煙・肥満だけじゃない〜
これまで脳梗塞の主な原因とされてきたのは、以下のような「伝統的リスク因子」です:
- 高血圧
- 糖尿病
- 喫煙
- 高コレステロール
- 運動不足
- 肥満 など
これらはPFOのない若年者の脳梗塞に特に強く関係していました。
一方で、**PFOがある人では「非伝統的因子」**の影響がより大きく、
- 片頭痛(特に前兆を伴う)
- 自己免疫疾患
- 静脈血栓症
- 慢性炎症性疾患(潰瘍性大腸炎など)
- 薬物使用や精神的ストレス
といった因子が関係していました。
特に「片頭痛(前兆あり)」は、女性やPFOがある人で突出しており、脳梗塞全体の最大45.8%に関与していたという結果も出ています。
【3】女性ならではのリスクにも注意 〜妊娠・ピル・ホルモン〜
女性に特有のリスクとしては、以下の項目が関係していました:
- 妊娠中や産後
- 妊娠高血圧症候群
- 経口避妊薬(ピル)やエストロゲン使用
これらは単体では小さな要因かもしれませんが、他のリスクと組み合わさることで脳梗塞の引き金になる可能性があります。
若い女性では、伝統的な生活習慣病リスクが少ない分、こうした性別特有の因子や片頭痛、ストレスの影響が強調される傾向があります。
【まとめ:若いからこそ、今すぐできる予防を】
若年者の脳梗塞リスクは、「生活習慣」+「非伝統的要因」+「体質的な要因(PFOなど)」が絡み合って発症します。
たとえ健康診断で異常がなくても、
- 前兆のある片頭痛がある
- 妊娠・ピル使用中
- ストレスが強い
- 家族に若年での脳梗塞歴がある
といった方は、一度専門医の評価を受けてみることをおすすめします。
【参考文献】
Putaala J, et al. Burden of Modifiable Risk Factors in Young-Onset Cryptogenic Ischemic Stroke by High-Risk Patent Foramen Ovale. Stroke. 2025;56. DOI: 10.1161/STROKEAHA.124.049855
